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NATURE IN THE GLASS 「アット・ジ・オアシス」

NATURE IN THE GLASS 「アット・ジ・オアシス」

aquajournaljpアクア・ジャーナル編集部

黄虎石と水草で 「寂び」を表現したオアシス水景


[ アット・ジ・オアシス ] 砂漠のオアシスやコンクリートの隙間など、過酷な環境に生きる植物からは、より力強い生命力を感じる。日本人は長い時間を経て石の表面に生える苔に「寂び」の美学を感じてきたが、石の表面も一般的な植物からすれば生きづらい過酷な環境であり、無機物である石からにじみ出てくるような生命感に心を動かされたのかもしれない。今回の水景は、苔やシダとは別のアプローチで「佗び、寂び」を表現することをコンセプトとしている。構図骨格は黄虎石をメインに用いて黄土色で統一し、その隙間に明るい緑や赤系の水草を植栽することで、砂漠のオアシスのような景観を表現した。

DATA


撮影日:2018年10月18日(ADA)
制作:井上 大輔(レイアウト制作・文)
水槽:キューブガーデン W120×D50×H50(cm)
照明:ソーラーRGB ×2(1日8時間30分点灯)
ろ過:スーパージェットフィルターES-1200(バイオリオL)
素材:流木、黄虎石
底床:アクアソイル-アマゾニア、コロラドサンド、パワーサンド・アドバンスL、 バクター100、クリアスーパー、トルマリンBC
CO2パレングラス・ビートル40Ø、ビートルカウンターで1秒に5滴(タワー使用)
AIR:リリィパイプP-6によるエアレーション 夜間消灯時15時間30分
添加剤:ニュートラルK、グリーンブライティ・ミネラル、グリーンブライティ・アイアン、 グリーンブライティ・ニトロ、ソフトウォーター
換水:1週間に1度 1/3
水質:水温25℃ pH:6.2 TH:20mg/L

水草:BIOみずくさの森 ニューラージ・パールグラス / BIOみずくさの森 ヒドロコティレ・ミニ / BIOみずくさの森 ベトナム・ゴマノハグサ / トニナsp. ベレン / ラージ・マヤカ / ロターラ・ナンセアン / 佗び草マット プレミアムモス / 南米モス

魚種:アピストグラマ・ビタエニアータ /  ナノストムス・マジナータス / ディープレッド・ホタルテトラ / テトラ・オーロ / サイアミーズ・フライングフォックス / オトシンクルス / ヤマトヌマエビ

「佗び、寂び」の 「寂び」を意識した 構図づくり


水草の持つ生命エネルギーを強調するため、構図は思い切り「寂び」を意識して制作した。自然でも人工でも「寂び」を感じる風景には、長い時間の経過によってやや荒れた状態になっている印象がある。それを構図で表現するために、石や流木はあえて無骨な印象のものを選び、長い年月をかけて浸食され風化した岩が崩れ、さらに周囲が砂漠化しているような情景をイメージして構図を組んでいる。また、構図の印象を強めるために、流木を木ではなく石のようなイメージで用い、さらに意図的に流木の下に濃い影をつくった。今回は前景に化粧砂を敷き、さらに明るい色の水草をメインに植栽しようと構想していたので、濃い影の部分をつくることで水景にメリハリを付けようと考えたのだ。
構図(2018年6月20日 撮影)

①放射状に組んだ流木


流木を組む際は、放射状に組むと構図に迫力や広がりが出る。今回用いた流木は形状自体が奇抜な印象だったため、構図はあまり複雑にせず、シンプルな放射状に組むことでまとまりのある構図にした。流木はソイルでしっかりと固定。

 

②ブロック状の流木を使った表現


今回は枝が出ていないブロック状の流木を選び、浸食された奇岩に見立てて石組のように配置した。一見すると使いにくい構図素材でも、使い方次第で可能性が広がる。

 

③流木、石、砂の色調の統一


流木、石、砂の色調の統一 構図骨格を構成する要素を、こげ茶色と黄土色のくすんだ渋い色調に統一。こうすることで、「佗び、寂び」の表現を明確にする狙いがある。前景に敷いた化粧砂は、白ではなくベージュ色のコロラドサンドを選択し、砂漠のイメージを表現。

 

④流木による遠近感の表現


手前の流木は大きく見えるように手前に傾けて配置し、流木の下に濃い影をつくった。それに対して奥の流木は奥に向かって倒し、小さく、明るく見せることで遠近感を表現している。

 

⑤黄虎石の質感で「寂び」を強調


独特の凹凸と自然な黄土色が特徴的な黄虎石で「寂び」を強調。この水景は、黄虎石がなければ成り立たなかっただろう。コンセプトやテーマに沿った素材選びは重要である。

 

⑥中景に植栽スペースを確保


ソイルと化粧砂の敷き分けの際、中景にこのようなポケット状の植栽スペースをつくることで、より複雑な表現が可能になる。今回は構図素材を組んだ後、ソイルと化粧砂を敷き分けた。

水草と魚種、選択のポイント

1.魚種


この水景では魚の存在感をあまり強調したくなかったので、できるだけ小型の魚種と地味めの魚種を選択した。水景の「寂び」の印象に合わせて、ずっと前からそこに生息していたイメージを出した。

 

2.トニナsp.


トニナsp.は弱酸性の水質を好むため、カリ分補給は水のpHやKHを上昇させないニュートラルKで対応。ソフトウォーターを毎日規定量添加し、水質を弱酸性に傾けた。また、白化予防にニトロを毎日添加した。

 

3.ベトナム・ゴマノハグサ、ヒドロコティレ・ミニ


中景の植栽スペースには、匍匐性のある水草をチョイスして植栽。繁茂して横方向に広がることで、ある程度構図素材を覆う効果を狙った。下草系の水草は、BIO みずくさの森を使うと状態が良く失敗が少ない。

 

3.プレミアムモス


石組のような勢いのある構図を生かすため、苔はプレミアムモスをチョイス。流木や石を覆うように生長するが、あまり厚くならないので構図の印象を壊しにくい。今回は佗び草マットから剥がして巻きつけた。

 

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