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NATURE IN THE GLASS 「古木によりそう」

荒木 大智荒木 大智

時間と共に移り変わる生命の新陳代謝


[ 古木によりそう ] 深い森の中で大木が倒れ、時間経過と共に新たな草木が芽吹いてきた様子をイメージして水景制作を行った。緩やかな時間の流れの中で倒木は苔むし、周りに芽生える若木が生命の移ろいを感じさせる。ネイチャーアクアリウムでは違和感を出さないために同じ種類の流木でレイアウトを組むのがセオリーだが、今回はあえて2種類を用い、植生の遷移を表現した。寝かせた大きなホーンウッドを倒木に見立て、上に向かって伸びるブランチウッドで萌え立つ若木をイメージしている。
ⒸAQUA DESIGN AMANO

DATA


撮影日 : 2021年3月25日(ADA)
制作 : 荒木 大智(レイアウト制作)
水槽 : キューブガーデン W120×D50×H50(cm)
照明 : ソーラー RGB ×2(1日8時間30分点灯)
ろ過 : スーパージェットフィルター ES-1200(バイオリオG)
素材 : ホーンウッド、ブランチウッド、山水石
底床 : アクアソイル-アマゾニア Ver.2、DOOA トロピカルリバーサンド、 パワーサンド・アドバンス M、バクター100、クリアスーパー、トルマリンBC
CO2 : パレングラス・ビートル 40Ø、CO₂ビートルカウンターで1秒に5滴(タワー使用)
AIR : リリィパイプP-6によるエアレーション 夜間消灯時15時間30分
添加剤 : ブライティK、グリーンブライティ・ミネラル、グリーンブライティ・アイアン、 グリーンブライティ・ニトロ
換水 : 1週間に1度 1/3
水質 : 水温25℃ pH:6.2 TH:50mg/L

水草 :
アポノゲトン・ロンギプルムロスス
クリナム・アクアチカ・ナロー
バリスネリア・スピラリス
バリスネリア・ナナ
ギニアンハイグロ
ボルビティス・ヒュディロッティ
南米ウィローモス
アヌビアス・ナナ
BIO アヌビアス・ナナ・プチ
BIO ウィローモス

魚種 :
ブルーダイヤモンド・コンゴ・テトラ
サイアミーズ・フライングフォックス
オトシンクルス
ヤマトヌマエビ

2種類の流木で朽ちた木と芽生えた若木を表現


森の時間経過における古木と若木を表現する手法として、2種類の流木を使用してレイアウトを組んだ。寝かせたホーンウッドは倒れた大木に見立て、苔むしたイメージを表すためウィローモスにボリュームの出る南米ウィローモスを混ぜて巻き付けている。流木の右端を植栽で隠すようにしたのは、折れた大樹の幹が茂みの中に続いていくように見せる狙いがあったためである。倒木に立てかけたブランチウッドは若木の雰囲気を出すために少なめにウィローモスを付け、新芽の印象を与えるために小さな葉のアヌビアス・ナナ プチを使っている。
構図のイメージ
構想の段階では凸型構図の水景を思い描いていたが、流木を組んだ後に倒木のサイズをより大きく想像できるように三角構図に変更した。
2020年1月14日 撮影
立ち上げから4ヵ月後のレイアウト/2020年5月1日 撮影
ⒸAQUA DESIGN AMANO
①2種類の流木を使用
明確なテーマがあれば、種類の異なる素材を使用しても違和感がない。大きなホーンウッドで倒木を、ブランチウッドで若木を表現している。
②生命感あふれる若木を表現
新たに生命が生まれてくる若々しい印象と多様性を表現するために、色合いと明るさの異なる4種類の有茎草を植栽。 華やかさも加わった。
芽吹き始めた新芽をイメージできるように、高い位置にアヌビアス・ナナ プチをつけた。
③ギニアンハイグロ (Hygrophila odora)
葉の形が特徴的で目を引く水草。比較的大型に育つが、生長は緩やかで摘み取りでサイズをコントロールしやすいため、ここでは中景草として使ってみた。


創造配植によりイメージの変化を楽しむ流木の際立つワイルド水景


有茎草バックの華やかな水景から植栽をグリーンで統一し、清涼感と野生味のあふれる水景に生まれ変わった。この創造配植について制作者である水景クリエイターの荒木大智にその意図を聞いた。
創造配植後のレイアウト/2020年7月6日 撮影
完成 ⒸAQUA DESIGN AMANO
創造配植に至った理由と、配植後の水景の印象について教えてください。
荒木 まず、一番注目してもらいたいところは、ホーンウッドとブランチウッドの2つの素材を組み合わせている点です。倒木とその周りに芽吹く若木をイメージした構図から、野生味あふれる水景を表現しています。初めの植栽では背景を有茎草にしましたが、細かい葉や複数の色味から華やかな印象になっていました。それは良かったのですが有茎草が繁茂することによって、2種類の流木の野生的な印象がやや弱くなりました。そこで創造配植によって、背景をグリーンのテープ状水草で統一し、この水景のメインテーマである古木と若木の存在感や野生味をもっと際立たせてみようと思いました。

 

テープ状水草と有茎草とではメンテナンス上での違いはありますか?
荒木 有茎草の場合ですと、トリミングや差し戻しなど維持していく上で大掛かりな作業が多く、一時的に背景が見苦しくなったりします。一方、テープ状水草の場合は、古葉の除去や間引きなどで見頃の様子を平均的に維持しやすいと言えます。また、有茎草は基本的に植えた所で生長していきますが、テープ状水草は横に匍匐するランナーをどんどん出して、占有範囲を自分で広げていきます。そのために広がりすぎないように適度にランナーは処理しなくてはなりません。こうした水草の種類による生長戦略の違いは面白さでもあり、時間による移ろいとして表現に取り入れたいところです。
創造配植後
柔らかく葉を伸ばすテープ状水草は、有茎草とはまた別の魅力があり、水の流れを意識させてくれる。
創造配植前
下草のスペースを化粧砂に変更したのはどうしてですか?
荒木 背景を有茎草からテープ状の水草に変更したとき、最初は下草にエキノドルス・テネルスsp.ブロードリーフを植栽しました。これは草体が大きいほうが野生味があって、マクロ的な視点の水景が狙えると思ったからです。しかし、背景と前景が似てしまったことで景観が煩雑な印象になってしまいました。有茎草の華やかさをなくしたことで、水景全体に明るさがなくなったこともあり化粧砂に変更しました。また、テープ状水草に変更したことで水の流れがより感じられるようになりました。水流があるところは小石や粒の粗い砂利が堆積しているので、トロピカルリバーサンドを使用しています。

 

水草の植栽を変更するときに気をつけたポイントはありましたか?
荒木 赤や黄色の水草は、ネイチャーアクアリウムでは、レイアウトの重心に配植することが基本で、水景のアクセントとしても目を引くポイントになります。しかし、本水景では、2種類の流木に注目してもらいたいので、見て欲しいポイントが分散しないように、あえて赤系水草は使用しませんでした。また、有茎草とは違いテープ状水草を多用するときに注意する点は、景観が単調になりやすいところです。それを回避するためには、複数の水草を取り入れて、メリハリをつけることが大切です。本水景で言うと、真ん中のアポノゲトン・ロンギプルムロスス。これがメインプランツになりますし、中景草のギニアンハイグロを背景でも使用して、葉の形状や色味に変化をつけることで単調にならないようにしています。あとは、色味と植栽量のグラデーションです。水草の葉の密度を空間に向うにつれて低くしたりすることで、同じ緑でも濃淡が表現され、より自然に近い、野生的な趣を水景に与えることができます。

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