シンプルな構図と植栽で 幻想的な群生地の水域を表現した エキノドルスの水景

水草がすべてエキノドルスの水景を見てみたい。このレイアウトはそんな発想から制作したものである。構図の主張が少なく、水草本来の美しさを再認識できるこのような水景は見ていて飽きがこない。構図と植栽はシンプルだが、ただ整然とエキノドルスが植えられている水景にならないように工夫を凝らしている。素材に大きめの流木を用いることで茂みの中に水草が植えられていない場所をつくり、中央に背の低い水草を配植することで空間を確保している。水景を彩る魚たちも、エンゼルフィッシュ、カージナル・テトラ、プリステラと南米の代表種を混泳させて幻想的なエキノドルスの群生地を表現した。

DATA

撮影日 : 2020年7月16日（ADA）
制作 : 荒木 大智（レイアウト制作・文）
水槽 : キューブガーデン　W90×D45×H45（cm）
照明 : ソーラーRGB ×1（1日8時間30分点灯）
ろ過 : スーパージェットフィルターES-600（バイオリオM）
素材 : ホーンウッド、万天石
底床 : アクアソイル-アマゾニアver.2、トロピカルリバーサンド、玉砂利、
パワーサンド・アドバンスM、バクター100、クリアスーパー、トルマリンBC
CO₂ : パレングラス・ラージ30Ø、CO₂ビートルカウンターで1秒に3滴（タワー使用）
AIR : リリィパイプP-4によるエアレーション　夜間消灯時15時間30分
添加剤 : ブライティK、グリーンブライティ・ミネラル、グリーンブライティ・アイアン、
グリーンブライティ・ニトロ
換水 : 1週間に1度　1/3
水質 : 水温25℃　pH：6.2　TH：50mg/L

水草
ジャングルプランツ エキノドルス・ジョーヨレッドスター
ジャングルプランツ エキノドルス・マヨール
ジャングルプランツ エキノドルス・レッドルビン
エキノドルス・ファンタスティックカラー
エキノドルス・ウルグアイエンシス
エキノドルス・オゼロットグリーン
エキノドルス・スモールベア
エキノドルス・オパクス
エキノドルス・ラチフォリウス
エキノドルス・テネルス（マディラ産）
佗び草マット ウィローモス

魚種
デュメリリィ・エンゼル
カージナル・テトラ
プリステラ
サイアミーズ・フライングフォックス
オトシンクルス
ヤマトヌマエビ

素材の配置と配植で レイアウトに メリハリをつける

今回のレイアウトは、苔類を除いて水草はエキノドルスのみを用いてつくるという試みなのだが、エキノドルスは1株のインパクトが強く、ぎっしりと植えられていると印象が重たくなりすぎることが予想された。そのため、前景には化粧砂を敷き、流木の配置によって茂みの中にエキノドルスが植えられていない部分をつくるなどメリハリをつけた。なお、テネルスとラティフォリウスは数年前にエキノドルス属からヘランチウム属に属名が変更されたのだが、同じオモダカ科でエキノドルス属の近縁であり、“エキノドルス”の流通名にもなじみがあるため、このレイアウトでは表現を優先してあえて使用している。ラチフォリウスは、おもに中央の空間を確保するために植栽し、テネルスは中景の自然感を高めるために植栽した。

植栽直後のレイアウト／2020年5月29日 撮影

1 底床の敷き分け
エキノドルスの自生地の写真を調べたところ、赤土にも砂利にも生えていた。水景のメリハリを優先して前景にトロピカルリバーサンドを敷いた。

2 流木にはウィローモスを使用
自然感の演出として、流木にはウィローモスを巻きつけた。ウィローモスの流通形態にはいろいろあるが、今回は佗び草マットからはがして使用。状態が良く失敗が少ない。

3 底床の仕切り
化粧砂とアクアソイルの仕切りとして、石を隙間なく並べることが多いが、今回は流木や玉砂利で仕切る部分もつくることで必要以上に石を使用せず自然な配石になった。

4 エキノドルス・ジョーヨレッドスター
緑と赤が入り混じった水中葉が印象的なジョーヨレッドスターを背景左端に植栽。背景左端の空間が埋まり、葉を大きく展開した重心のマヨールにもうまくつながっている。

5 エキノドルス・マヨール
当初、左側の重心にも赤い葉のエキノドルスを植栽しようと考えていたが、植栽を進めていく中でそこに赤を置くのも狙いすぎかと思い、緑で葉の大きいマヨールを植栽した。

6 エキノドルス・レッドルビン
赤い葉のレッドルビンを緑の茂みの中に植栽。緑の葉の間に赤い葉が垣間見えるようにすることで、緑のエキノドルスの茂みにメリハリを出し、水景に奥深さを演出している。