NATURE IN THE GLASS 「楽園の印象」
佗び草 有茎草MIXの彩りとグッピーたちが楽園の華やかさを演出
[ 楽園の印象 ]
この水景では、構図素材にあまり見かけない横長の雲山石を使用している。縦長の雲山石は造形的に印象の強い構図を組みやすいのに対し、横長のものはどっしりとした安定感のある構図を組みやすい。構図は横長の石の特徴を生かすために山並のような横のつながりを意識し、5つの雲山石を3:2の黄金比でシンプルに配石。植栽のポイントは、背景を佗び草 有茎草MIXのみとしているところだ。さまざまな水草が混栽された佗び草は、作為をなくして簡単に自然感を出すことができる。雲山石との組み合わせは、小型水槽から大型水槽までサイズを問わずに相性が良いのでおすすめしたい手法である。

DATA
撮影日:2018年7月3日(ADA)
制作:荒木 大智(レイアウト制作・文)
水槽:キューブガーデン W120×D50×H50(cm)
照明:ソーラーRGB ×2基(1日9時間点灯)
ろ過:スーパージェットフィルターES-1200(バイオリオM)
素材:雲山石
底床:アクアソイル-アマゾニア、パワーサンド・アドバンスM、バクター100、 クリアスーパー、トルマリンBC
CO2:パレングラス・ビートル40Ø、ビートルカウンターで1秒に5滴(タワー使用)
AIR:リリィパイプP-6 13Øによるエアレーション 夜間消灯時15時間
添加剤:ブライティK、グリーンブライティ・ミネラル、グリーンブライティ・ニトロ
換水:1週間に2度 1/3
水質:水温25℃ pH:6.4 TH:20mg/L
植物:佗び草 有茎草MIX/佗び草 かれん/佗び草 ハイグロフィラ・ピンナティフィダ/ BIOみずくさの森 グロッソスティグマ/ BIOみずくさの森 リシア/ ウィローモス(モスバッグ)
魚種:グッピー(外国産グッピー)/ サイアミーズ・フライングフォックス / オトシンクルス / ヤマトヌマエビ

広い面積でも水草の植栽を簡単にさらに高い密度で行える佗び草の特長を生かした水景
今回のAJでは、佗び草をメインに使用した水景をセレクトして紹介します。最初に紹介するこの水景は、比較的大きな水槽である120cm水槽に制作されたもので、佗び草は有茎草MIX、かれん、ハイグロフィラ・ピンナティフィダの3種類が使用されています。もともと天野 尚が佗び草を考案した背景には、植栽面積の大きな大型水槽で水草の植栽を簡単にしたいという狙いがありました。そのため、より隙間なく配置するために、同じ有茎草混栽の佗び草でも大きさの異なる有茎草MIX(9Ø)とかれん(6.5Ø)がラインナップされているのです。この120cm水槽のレイアウトでも、そんな佗び草の特長を生かした使い方がされています。

着生水草による効果
雲山石にはハイグロフィラ・ピンナティフィダとウィローモスを活着させることで自然な一体感を演出。水草で覆うことで石の存在感を弱め、メインの佗び草 有茎草MIXから伸びる水草の存在感を強調する狙いもある。
雲山石にはハイグロフィラ・ピンナティフィダとウィローモスを活着させることで自然な一体感を演出。水草で覆うことで石の存在感を弱め、メインの佗び草 有茎草MIXから伸びる水草の存在感を強調する狙いもある。

B:佗び草 かれん
C:佗び草 ハイグロフィラ・ピンナティフィダ
D:リシア
E:グロッソ・スティグマ
シンプルな構図の利点
5つの雲山石によりシンプルで安定した構図を組むことで、佗び草の入れ替えなどにより長期的に水景を楽しむことができる。また、植栽の変更も容易であるため、創造配植により気分に合わせて水景の様子をがらりと変えることも可能だ。
5つの雲山石によりシンプルで安定した構図を組むことで、佗び草の入れ替えなどにより長期的に水景を楽しむことができる。また、植栽の変更も容易であるため、創造配植により気分に合わせて水景の様子をがらりと変えることも可能だ。


佗び草による植栽の簡略化
このレイアウトでは佗び草を多用することで植栽を簡略化した。ハイグロフィラ・ピンナティフィダも雲山石の穴に置いた佗び草から広がったもの。佗び草のメリットは、植栽を簡略化しても完成度を高められる点にある。
このレイアウトでは佗び草を多用することで植栽を簡略化した。ハイグロフィラ・ピンナティフィダも雲山石の穴に置いた佗び草から広がったもの。佗び草のメリットは、植栽を簡略化しても完成度を高められる点にある。

植栽直後のレイアウトでは雲山石の存在感が強いが、完成水景の撮影時には水草に覆われて存在感が適度に弱まっている。