2023.01.13 連載:ADAスモールトーク
ADAスモールトーク #11 「日陰に煌めく青光り」
青く光る植物。私が最初にその存在を知ったとき、遺伝子操作によってつくり出された植物だと思いました。
しかし、人間が観賞用につくったものではなく、自然界で生き抜くために独自の進化を遂げた植物だったのです。青光りする植物はいくつかありますが、今回はベゴニア・パボニナについてご紹介します。
しかし、人間が観賞用につくったものではなく、自然界で生き抜くために独自の進化を遂げた植物だったのです。青光りする植物はいくつかありますが、今回はベゴニア・パボニナについてご紹介します。
ベゴニア・パボニナはマレーシアに分布する根茎性の原種ベゴニアで、森林の地表面である林床に生息しています。青く光る葉の表面にはイリドプラストと呼ばれる葉緑体が規則正しく配置され、これが見る角度によって変化する構造色を生み出しています。低照度下での光合成効率の向上を図るために獲得された葉緑体構造であり、緑色の波長を多く取り込むことで光合成を促進するはたらきを持ちます。 要するに、パボニナの青く光る葉は光が届きにくい林床でも効率的に光合成を行うことができる生存戦略というわけです。
実際に光量を十分に確保できる場所で育成すると葉色が薄くなってしまいますが、その株を低光量下での育成に切り替えると徐々に葉色が濃くなってきます。ちなみに、もっと青く光らせたいんだ!という方は、育成初期は高湿度な環境が必須ですが、葉が5センチ以上に生長した株は少し低めの湿度で育ててみてください。底床が湿っていて葉の表面が乾いているような環境下では葉がビロード状になるため上品さや深みがより一層感じられ、気付けばパボニナの虜になっていることでしょう。
ジャングルプランツ・シリーズで現在販売中のベゴニア・パボニナは、LCカップの中では黄緑色の葉を展開していますが、生長するにつれてだんだん青光りする葉に変化していきます。パルダリウムの構図素材や植物の影になっている暗めの場所に配植することで、その美しさを存分に発揮してくれます。ぜひ青光りの魅力に入り浸ってみてはいかがでしょうか。