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ADA PLANTS GALLERY #09 「アフリカン・オテリア」

岩堀 康太岩堀 康太
多様な生体製品を開発しているADAの生産開発部、通称”グリーンラボ”。
このコーナーではラボで扱う植物の豆知識や時折見せてくれる素顔の一部をご紹介します。

激戦区を制するアフリカンオテリア


アフリカンオテリア(ここではO.ulvifolia)は、マダガスカル島含めアフリカの湖や河川などに分布しています。その分布域は、日本にも自生する同属のミズオオバコ(O. alismoides)に次ぐ広さです。現在、10種以上のオテリアが確認されているアフリカでも数少ない黄花を咲かせる種類で、大西洋を隔てて南米に分布している黄花のアマゾンオテリア(O. alismoides)は、分類上近い種類でのようです。白花のアフリカンオテリアも存在するかもしれないが、別種を疑ったほうが良いでしょう。

セロファン質×虎斑


アフリカンオテリアの最大の魅力は、セロファンのように透明感ある葉と、そこに現われる褐色の虎斑でしょう。葉は抵抗が少なく、表面がスムーズで独特なさわり心地です。きれいな草体を保つためにCO2の添加はもちろん、やや富栄養を好むためアマゾニアの使用やボトムプラスでの追肥をしましょう。水流が穏やかな箇所では葉柄が過度に伸びずに整った姿になりやすいようです。大きく生長するため、90㎝以上の水槽での育成をおすすめします。
時を忘れて眺め続けたいと思うようなエキゾチックな虎斑。それでいて、レイアウトでは決して主張しすぎることはない。

ウリクラゲと似た花芽


オテリアの仲間はスイレンやアポノゲトンなどと同様に花茎を伸ばし水面で花を咲かせます。水槽育成における花茎の長さは数十㎝程度ですが、自生地では2m近くになるものもあるそうです。オテリアの子房の形状は、ひだがあるものや刺状の突起があるものなどさまざまです。アフリカンオテリアにおいてはまるでウリクラゲのような形をしています。中は気体(詳細はわかかりません)で満たすことでフロートになっているようで、それを突き破り花が咲きます。
カプセルを突き破っている最中の写真。中に気泡があり、水が浸入したことがわかる。

繊細な葉と茎に注意


アフリカンオテリアは花茎はやや柔軟性があるのに対して、葉や葉柄は折れやすく、パッキングする際は無酸素パッキング(袋の中が水で満たされている状態)で行うのが普通です。しかし、ADAがイベントなどでレイアウト作品を運ぶ際には水が入っている状態では運ばないので、アフリカンオテリアを丁寧に包むようにぬらしたペーパータオルで保湿し、周りをエアーパッキンで固定しています。微細な葉を持つオテリアの仲間は、育成にも運搬(ADAの特殊事情ですが…)にも苦労するというのがラボスタッフ間での認識です。
左:花茎
右:葉柄
葉柄に比べ花茎は比較的単純な構造で、細胞の大きさが均一で丸みを帯びたものが多いように見える。花茎の柔軟性と関係あるのかもしれない。

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