ADA

ADA PLANTS GALLERY #01 「グロッソスティグマ」

岩堀 康太岩堀 康太
多様な生体製品を開発しているADAの生産開発部、通称”グリーンラボ”。
このコーナーではラボで扱う植物の豆知識や時折見せてくれる素顔の一部をご紹介します。

ネイチャーアクアリウムが生んだスター


スプーン状の葉をもつ可愛らしいグロッソスティグマ・エラチノイデスは、その育てやすさからプロからアマチュアまで愛される下草(前景草)の人気種です。オーストラリア南東部、タスマニア、ニュージーランドに分布し、河川や湖沼の浅瀬から湿地にかけて群落を形成しています。種小名は、「エラチネ(ミゾハコベ属)のような」という意味です。今となっては「ど」がつくほど定番なグロッソスティグマは、30年以上前、ネイチャーアクアリウムによってその存在が広く発信されました。しかしながら、当時は入手困難なうえ高額な超激レア水草でした。
ほふくして丸葉を密に広げた姿や他の下草にはないポテンシャルは、ネイチャーアクアリウムになくてはならない存在になった。
制作・撮影 天野 尚(1992年7月)

どんな場面でも役を演じる


グロッソスティグマは、BIOみずくさの森と佗び草がラインナップされています。小型水槽や入り組んだレイアウトなどには、少数ずつ植栽できるBIOみずくさの森が最適でしょう。開けたスペースや石組でソイルを盛った斜面では、佗び草は密な植栽をしながらも展開が早く、土留めの効果も期待できます。他の水草との相性もよく、たとえば エキノドルス・テネルスと混じり合って生まれる雑然さは、レイアウトにより自然な印象を与えます。また、リシアを点々と配植したりすると単調さがなくなるだけでなく、異なる大きさの酸素の気泡が見られ幻想的な水景に仕上がります。
多様な組み合わせにより、愛らしさも野生味も演出できる。グロッソスティグマを中心とした植栽プランは失敗も少ない。

回復力は有茎水草の中でもトップクラス


トリミングにとても強いグロッソスティグマは、側芽の展開が早く、すぐに密度を増して一面を覆います。その潜在力はトリミング片にも隠されており、一片の葉や葉柄、茎などを水に浮かべておけば5日と経たずに発根が確認できます。これは、ネオグラス エアやガラスポットSHIZUKUで水に浸したアクアソイルに蒔いても同様で、構図を組み簡易的なパルダリウムとして二次的に楽しむこともできます。しかしながら、強い耐寒性やその丈夫さゆえ、やむを得ず処分する場合は適切な方法で行い、野外への流出は絶対にしてはいけません。
トリミング後5日目の切片。しっかりと発根の様子がうかがえる。水上葉の生長も水中同様、強光下で顕著な匍匐を見せる。

可憐な花も一見の価値あり


ハエドクソウ科(かつてはゴマノハグサ科に属していた)の グロッソスティグマの仲間は現在6種類あるとされ、そのすべてがオーストラリアやニュージーランドに分布しています。ただ一種、茶道具のさじのような細い葉のグロッソスティグマ・ディアンドルム(G.diandrum)は、ベトナムやインド、西アフリカにも点在しているようです。基本的には、どの種類も白花を一斉に咲かせますが、中には薄桃色に色付くものもあります。今回の主役のグロッソスティグマ・エラチノイデスも可愛らしい白花が咲きます。まるで小さな梅花に似た姿をしており、花弁からは絹糸のような軟毛がいくつも伸びています。
隆盛な生長とは裏腹に、繊細な花を咲かせる。花に焦点を当てたパルダリウムレイアウトなど、新たな可能性を感じる。

POPULAR POSTS注目の投稿