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ADA PLANTS GALLERY #06 「ラゲナンドラ・ケラレンシス」

岩堀 康太岩堀 康太
多様な生体製品を開発しているADAの生産開発部、通称”グリーンラボ”。
このコーナーではラボで扱う植物の豆知識や時折見せてくれる素顔の一部をご紹介します。

時を感じるレイアウトに


ラゲナンドラはクリプトコリネのように時間の経過とともに魅力が増していく水草です。中でもラゲナンドラ・ケラレンシスは生長が緩やかなため、ボトムプラスで栄養素をコントロールしながらじっくりと仕上げる必要があり、少々玄人向きと言えるかもしれません。株の生長点が増えづらいため、最初に多めの植栽が必要です。マットな質感の葉は、アジアの魚やシダやモスなどと一緒に時間経過を楽しみたいものです。
ラゲナンドラ・ケラレンシスの特徴的な葉色は、チョコレート・グラミーともぴったりです。

印のラゲナンドラ・ケラレンシス
錫のクリプトコリネ・スワイテシー


ラゲナンドラ・ケラレンシスの自生地、インド南西部では、群落というより局所的に個体が散在していることが多いようです。こういった場合、1株における生長点の充実よりも一定条件下での種子による増殖力のほうが強いのでしょう。また、今後は自生地環境の変化により、激減する可能性も考えられます。このような生態や佇まいには、隣国のスリランカに自生するクリプトコリネ・スワイテシーに近い慎み深さを感じます。
希少な植物を組織培養や自家栽培株でリリースする理由には、自生地への配慮をしながら持続的に植物を楽しむといった意味もある。

影武者ケラレンシスの謎


2001年に新種記載された本種は、インド南西部の限られた地域にしか自生しておらず、野生下でもとても貴重な水草です。これまでワイルド株やファームからのポット物が多く流通してきましたが、そのほとんどが別種でした。文献の特徴とはかけ離れたものと知りながらも、本物の情報も少なく謎が残っていました。今では、BIOみずくさの森や佗び草で本種がリリースされ、そのベールがようやく解かれました。
ラゲナンドラ・ケラレンシス
ラゲナンドラ sp.(ケラレンシスの影武者)
数年間、ケラレンシスの影武者とされていた別種のラゲナンドラ sp.も、光沢がある長葉は水中にも馴染みやすく、魅力的なものだった。

色違いを探せ!


ラゲナンドラ・ケラレンシスの葉は、かすれたような紫褐色にピンクラメが散りばめられ、パルダリウムプランツとしても魅力的な水草です。本種自体とても希少なのですが、さらに別色が存在しており、文献には「通常は薄紫色で、地味な緑色も希産する」と記されています。グリーンラボでは、ファームから輸入したものの中から偶然確認できた希少な緑色タイプを大切に育てています。開花もしており、増殖後に水草ファンへお届けできることを夢見ています。
一見地味だが、通常色と同様にピンクのラメも現れる。4cmほどの仏炎苞に期待がふくらむ。

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