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ADA PLANTS GALLERY #02 「リシア」

岩堀 康太岩堀 康太
多様な生体製品を開発しているADAの生産開発部、通称”グリーンラボ”。
このコーナーではラボで扱う植物の豆知識や時折見せてくれる素顔の一部をご紹介します。

宝石のような水生コケ


リシアの最大の特長は、何といってもライトグリーンの葉先に無数につけ、キラキラ輝く酸素の気泡でしょう。レイアウトではリシアストーンに巻きつけたものを並べ、前景草として使われることが多いようですが、流木にモスやヒドロコティレの仲間などとともに巻き付けるテクニックもあります。光合成を盛んに行うため、強い光とCO2はもちろんのこと、グリーンブライティ・ニトロとブライティKの添加が効果的です。
リシアは水景に水中感と幻想的なシーンをつくりあげるとともに、光合成による酸素の誕生を可視化する。

多様なタイプと 輝かない沈水リシアとは


普段あまり気にかけることがありませんが、実はさまざまな形態のリシアが流通しています。コンパクトにまとまるドワーフリシアや、極細タイプなどはよく見かけます。光やCO2などの育成条件が乏しくなると、半透明な緑色の沈水型になる場合がありますが、ライトグリーンのリシアに比べて葉緑体数が少なく、光合成によってつくられる酸素の気泡も少ないようです。
流通しているリシアも並べて比較するとこんなにも違う。a.ナロータイプ、b.通常タイプ、c.ブロードタイプ。

あなたのリシアはいったい何者?


リシア(Riccia fluitans)は和名ウキウキゴケ(旧ウキゴケ)や別名カヅノゴケ(鹿角苔)とも呼ばれています。さまざまなタイプがあると前述しましたが近年、本種がいくつかの近縁種と混同されていることがわかりました。日本では、近縁種としてホソバウキゴケ(R.stenophylla)や2倍体のオオウキゴケ(R.rhenana)、ミゾウキゴケ(R.canaliculata)の3種が知られていますが、種の中での形態的変異も大きく同定は難しいようです。
ラボで栽培しているさまざまなリシアを顕微鏡で観察してみた。これは葉幅1.8㎜の大型リシア。気室が非常に大きくオオウキゴケの特徴と酷似する。

フィールドで見つけるとウキウキしてしまう


リシアは自然度が高い田畑やその畔などに自生しており、同属のコハタケゴケに似た陸生形は比較的よく見られます。一方、ネイチャーアクアリウムでのリシアのような気泡をつけた群落は、なかなかお目にかかれません。こういった姿は、湧水の影響が強いため池や水路、休耕田などで稀にみられ、他の植物に絡まりながら自生しています。しかしながら、開発や水田の長期的放棄などによって現在は消滅しつつあります。
自然環境下でのリシアの様子。湧水の流れる小滝に、こんもりと黄緑色の群落を形成している珍しいシーン。

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