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ADA PLANTS GALLERY #03 「エレオカリス・ビビパラ」

岩堀 康太岩堀 康太
多様な生体製品を開発しているADAの生産開発部、通称”グリーンラボ”。
このコーナーではラボで扱う植物の豆知識や時折見せてくれる素顔の一部をご紹介します。
エレオカリス・ビビパラ

絹糸のような美しい水草


ヘアーグラスの仲間であるエレオカリス・ビビパラは、繊細さと柔らかさを兼ね備えた水草です。主張しすぎない存在感は多くの場面で選ばれ、石組をはじめレイアウトに流れや、涼しげな印象を与えます。傘の骨に似ていることからアンブレラプラントとも呼ばれ、周知されている水草ですが、単体でも美しさは十分で、ネオグラスエアでヒドロコティレ・ミニを下草に、メインとして1、2株植えてみても素敵でしょう。
柔らかくたなびく姿には、清涼感や流れのみならず、日本人の心をくすぐる確かな懐かしさを感じる。

石組+長期維持≒エレオカリス・ビビパラ


石組における背景のエリオカリス・ビビパラは、強すぎる親石の印象を和らげる効果があります。生長は早く、過密になると他の水草の枯葉や藻類が付着しやすくなります。しかし、ヘアーグラスのようにランナーで広がらないため、コントロールしやすく、実は長期維持に向いているということも特長の一つです。子株をつけた葉は、しだいに枯れていきます。髪をすくようなイメージでこまめにトリミングをしましょう。
涼しげな緑の背景に堂々たる八海石がなじむ。濃淡を調整しやすいエレオカリス・ビビパラの特長をいかした匠の技が光る作例。
制作・撮影 天野 尚(2008年10月)

水辺のクローンウォーズ


種小名のviviparaは、「無性芽を生じる」「自殖性の」を意味しており、痩果(中に種子がある小さく乾いた果実)はつくらずクローン株で殖える水草です。日本のハリイの仲間も似た殖え方をみせるときがあります。これらは痩果をつくりますが、沈水や抽水状態にあり、葉先の小穂が湿潤になる場合、特にクローン株を出しやすいようです。水位変動の影響を受けやすい環境で生きていくための独自の進化なのでしょう。
エレオカリス・ビビパラの水上株の葉先からクローン株を出している。小穂らしきものが観察できず、瘦果をつくらずクローン株のみで殖えていることがわかる。

雑然感が生むナチュラルな演出


草むらにはさまざまな植物が混在しており、それぞれが主張しすぎず雑然としているようで、その中に何らかのまとまりや無作為な美しさを感じます。エリオカリス・ビビパラはこういった表現も得意とします。その特長を活かし、佗び草の混生パターンに用いられていることはご存じでしょうか? MIX系の佗び草に意図して組み込まれたエリオカリス・ビビパラは、混生された他の水草と心地よいハーモニーを生み出します。
エレオカリス・ビビパラが組み込まれたパターンの佗び草。このような佗び草に出会う機会があれば、ぜひとも一度味わっていただきたい。

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