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ADA Review 「石組レイアウトの極意を学ぶ」

aquajournaljpアクア・ジャーナル編集部
ご存知の方も多いかと思いますが、「ネイチャーアクアリウム」という言葉が 生まれる以前から、天野 尚は石組レイアウトに取り組んできました。 ここでは天野が創造してきた石組の世界から、その極意を学びましょう。
NAギャラリーでは現存する天野 尚 作の石組レイアウトを展示。
水景クリエイターとして30年以上のキャリアのあった天野 尚(2015年没)。そのキャリアを通じてこだわり続けてきたのが石組レイアウトです。当初、石組レイアウトは天野にとっても相当難しかったようで、一晩がかりで組んだ石組を翌日には気に入らなくなり、すぐに崩してしまったというエピソードも残っています。そんな天野が石組レイアウトの真髄として折に触れて語っていたのが、「自然の石をよく観察する」ということでした。ネイチャーアクアリウムで最も重要な「自然から学ぶ」という姿勢も、石組レイアウトの真髄から来ているものなのです。石組レイアウトの歴史を振り返りながら、天野流石組の極意を学びましょう。
30年以上前に天野が制作した川石・単植単泳の石組レイアウト。学ぶべき天野流石組の源流といえる。
W120×D45×H45(cm) 制作・撮影/天野 尚 1985年撮影

30年以上前に石組を確立していたという驚き


天野 尚が最初に制作した60cm水槽の石組レイアウトは仙見川石を使用し、水草は当時日本ではほとんど知られていなかったエキノドルス・テネルスのみを植栽、魚はカージナル・テトラのみを泳がせたものだったとされています。上の水景は同時期に120cm水槽に制作されたもので、仙見川石の石組にエキノドルス・テネルスとカージナル・テトラの単植単泳という構成は、最初の石組レイアウトと共通しています。石組レイアウトに取り組み始めてまだ日の浅い時期の作品ですが、この時点で古典作庭技法の三尊石組に基づく石の組み方や、配石と石の傾きによる水の流れの表現など、石組レイアウトの基本的な方法が確立されていたことは驚きです。天野が確立した石組の世界は、その後、日本や世界のアクアリストに大きな衝撃を与えることになります。

 
この八海石の石組は14年間維持されている。石組は変化させず創造配植によって自然の植生遷移を表現。
W350×D75×H75(cm) 制作/天野 尚 2017年撮影(ADA)

14年間維持されている石組


この八海石の石組レイアウトは、現在、ネイチャーアクアリウム・ギャラリーのエントランスを飾っているものです。1994年にADA本社が落成してから、エントランスの3m50cm水槽にはいくつかの水景が制作されてきましたが、2005年に制作された石組レイアウトから石組自体は14年間変更されていません。この石組が制作された当初、植栽された水草はグロッソスティグマ、エキノドルス・テネルス、エキノドルス・ラティフォリウスの3種類だけでした。その後、創造配植を繰り返し、現在の有茎草とテープ状の水草を主体とした配植になりました。この石組が14年間維持されている理由として、天野の中で八海石の石組としては完成の域に達していたことと、創造配植によって自然の植生遷移を表現したかったことがあります。自然界において大きな石は不動ですが、石の周りの植生は時間とともに変化してくのです。

 
この石組レイアウトはNAギャラリーで展示中。天野が残した石組の真髄に触れてみてはいかがだろうか。
W180×D60×H60(cm) 制作/天野 尚 2017年撮影(ADA)

天野 尚が残した石組の極意


天野 尚が最後に制作した石組レイアウトは、現在もネイチャーアクアリウム・ギャラリーに展示されているこの水景です。天野にとって180cm水槽は最もレイアウトをつくりやすい水槽サイズで、数多くの傑作がつくられてきました。180cm水槽になると使用する石もかなり大きくなるのですが、たくさんの石の中から使用する石を選び、水槽の中に組むスピードは年々速くなっていたように思います。短時間で迷わずに石を組むことは、石組に勢い(=迫力)を出すための極意と言えますが、そのためには豊富な経験が欠かせません。石組を極めるには、自然の中でできるだけ多くの石を観察し、できるだけ多く石組をつくるしかないようです。また、天野は最後まで石組の新しい表現の模索を続けており、このレイアウトでも山石である万天石のイメージから山のガレ場を表現しています。

 

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