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すみだ水族館レポート Vol.08

mizunotakahito
当時世界最大のネイチャーアクアリウムとして誕生したすみだ水族館の「自然水景」も制作から間もなく10年が経とうとしています。これまであまり語られることがなかった舞台の裏側を連載でお届けします。
制作から10年を迎えようとしている4m「原生林の構図」と7m「草原と石景」。 撮影:水野貴仁(ADA) 撮影日:2022年2月

制作から10年


2012年5月22日のすみだ水族館のオープンに向けて同年3月から制作に取り組んだ「自然水景」は、間もなく誕生から10年を迎えます。ネイチャーアクアリウムは水草レイアウト水槽を長期維持しやすいように考案されたシステムではありますが、天野 尚が制作してきた数ある作品の中でも、10年以上維持されたものはそう多くありません。ADA本社のネイチャーアクアリウム・ギャラリーで制作される水景は、新しい作品を紹介するために数年内にレイアウトのつくり替えが行われることがほとんどだからです。その過程でさまざまな技法が試みられ、新しい表現方法が生み出されてきたわけですが、天野はその中でも巨大水槽の長期維持を可能にする表現方法を追求し続け、ネイチャーアクアリウムの集大成として自然水景をつくり上げたのです。筆者は長年メンテナンスに携わる中で、この水景の随所に天野が込めた意思を感じ、この水景を通して学ぶことが多々あります。自然水景をより深く理解することができたなら、天野が描いたネイチャーアクアリウムの真髄に迫り得るのだと信じて日々の管理に励んでいます。そしてそれは、この先の10年、20年後に訪れる人々の心を動かすことにつながるのではないかと思っています。本連載は今回で終了となりますが、少しでも自然水景に興味を持っていただき、実際にすみだ水族館へ足を運ぶきっかけになれば幸いです。ご愛読ありがとうございました。

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