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すみだ水族館レポート Vol.05

mizunotakahito
当時世界最大のネイチャーアクアリウムとして誕生したすみだ水族館の「自然水景」も制作から9年が経過しました。 これまであまり語られることがなかった舞台の裏側を連載でお届けします。

自然水景の水質と水処理


日本では多くの地域でpH7前後、TH(全硬度)50mg/L程度の軟水を水道から得られるので、水草を育成しやすいと言われています。特に底床にアクアソイル-アマゾニアを使用している場合は、クロルオフ以外のコンディショナーを多用しなくてもトラブルなく育成できる方も多いと思います。しかし実際には水道水の水質は時期によって大きく変動することがあり、すみだ水族館でも100mg/L近くのTHが検出されることがあります。これに気付かず換水作業を続けてしまうと、アクアソイル-アマゾニアの緩衝作用だけではTHの上昇が抑えられず、水草の生長を阻害してしまう恐れがあります。自然水景ではすべての水槽と水道水の水質を週1回計測し、水質の変動から生じるリスクを避けています。地道な作業ですが、長年記録したデータから傾向を掴み、変動値に合わせた液体添加剤の調整や、カチオンフィルターを使用する際の目安として役立ててきました。また、一見透明に見える水道水も、水垢や錆が含まれる場合があり、カチオンフィルターを使用しないときもNAウォーターを取り付けて換水しています。
NAウォーター
使用水量が多い自然水景では、フィルターカートリッジの目詰まりも早く、汚れたカートリッジを使用し続けると十分な効果が得られずに水槽に影響が出ることが確認されています。安定した水質は健やかな水草を育成するための第一歩ですので、皆様のアクアリウムにおいても定期的な水質チェックをお勧めします。
数日で水垢がこんなに溜まることもある。

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