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すみだ水族館レポート Vol.07

mizunotakahito
当時世界最大のネイチャーアクアリウムとして誕生したすみだ水族館の「自然水景」も制作から9年が経過しました。 これまであまり語られることがなかった舞台の裏側を連載でお届けします。

有茎草のメンテナンス


7メートル水槽の背景には、15の区画に11種の有茎草が色鮮やかに配植されています。多彩な配植はそれぞれ異なる群生美を醸し、このレイアウトの見所の一つとなっています。横7:縦1という超パノラマ比の水槽では特に背景と空間のバランスが重要になるので、生長速度が異なる有茎草たちを巧くコントロールしていく必要があるのですが、ここでも市販サイズの水槽のネイチャーアクアリウムと同様のトリミング方法を基本として管理しています。ただし毎日開館している中でのトリミングなので、作業後の状態でも違和感なく観賞していただくため、トリミングラインを下げて低い位置でカットすることはありません。そして新芽が展開し始めてからは、できる限り見頃が長く続くように、細かな摘み取りを加えて密度を上げていきます。トリミング作業は正面からだけでなく、背面側から箱メガネで覗き込みながら切り進めたり、側面からもラインを確認しています。
中央部が一番難しいため、慎重にトリミングを行う。
横幅と奥行のある水槽では、水槽の端から見たときも有茎草が綺麗な曲線を描くように、さまざまな角度から確認しながら修正を加えることが重要になるのです。箱メガネを使用しながらのトリミングは慣れるまで苦労しますが、構図素材の裏側の切り残しや、前面方向の傾斜が確認しやすいというメリットもあります。市販サイズの水槽でもトリミングの際には、さまざまな角度からトリミングラインをチェックすることが、より美しい水景をつくるコツとなります。
2週間後の水中動画撮影を見込んでトリミング。
撮影直前にはこのように仕上がった。

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