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SHITA-KUSA FOCUS [ 下草フォーカス ]

aquajournaljpアクア・ジャーナル編集部
下草として使用される代表的な水草は何でしょう? この質問に答えるのは簡単です。しかし、レイアウトによっては、同じ水草でも下草と言うよりは前景草としての役割を持つものもあります。それでは、どのような場面で水草は下草の役割を持つのでしょうか? 下草とは、その文字の通り下に位置する草になるので、何に対して下なのかということが肝心です。つまり、下草の定義は、レイアウトの中で構図素材や背景の有茎草・テープ系水草などに対して下の位置で繁茂している水草であり、水景における自然感の表現を下支えする存在となります。多くの場合、背丈が低い前景草として使用される水草は、どれも下草としての役割を果たす種類とも言えます。
三角構図の空間部分にまで広がるグロッソスティグマ。リシアや流木の際に配植されたベトナムゴマノハグサなども下草としての要素をもつ。W150×D60×H60(cm)
人の手でつくられた森における下草の存在
自然界においては、森の中で木々の株元、すなわち林床部分の植物群が下草と呼ばれ、樹高が高く林立するような木々に対して匍匐するようなタイプの木本類や多くの草本類が挙げられます。これらによって自然景観の中で生まれるような構成美をレイアウトに取り入れるという考え方は、ネイチャーアクアリウムの基本とも、神髄とも言えるのです。
天然の森林のように笹など背丈の低い植物が配され、自然景観が持つ美的要素が感じられるADA本社の森。
水景における下草の存在
下草として用いられる水草は、背丈が低くランナーで殖える種類が代表的ですが、クリプトコリネやラゲナンドラなどのロゼット型の水草も水槽サイズや構成によっては下草的な存在となることがあります。また、有茎草でも小さな草姿や匍匐性のある種類などが下草としての役割を持つことができます。ここで紹介するような場面で各水草が下草として植栽され、水景を構成しています。
グロッソスティグマ/エキノドルス・テネルス
グロッソスティグマとテネルスの群生が混ざり合い、さらに流木に寄り添うかのように配植されたクリプトコリネによっても自然感が増している。上方の空間は奥行き表現だけでなく、魚の遊泳空間としての役割を持つ。

W150×D60×H60(cm) AJ329号掲載

 
キューバパールグラス/オーストラリアン・ドワーフヒドロコティレ
手前から中央奥にかけてのキューバパールグラス主体の群落によって奥行きある景観となっている。石の際に配されたヒドロコティレが荒々しさを和らげ、有茎草を含めた水景全体の一体感を増している。

W60×D30×H36(cm) AJ286号掲載

 
ウォーターローン/カルダミネ・リタラ/オーストラリアン・ドワーフヒドロコティレほか
構図骨格の間まで一面を覆いつくすウォーターローンと流木基部を這うカルダミネやヒドロコティレといった明るい水草の色味によって鬱蒼さが解消されたかのように幻想的な下草空間を成立させた。

W180×D60×H60(cm) AJ305号掲載

 
下草に適した「佗び草」と「BIOみずくさの森」
ダッチアクアリウムなど水草の背丈で区分して植えるような階層型のレイアウトでは、手前から低・中・高というように大きさ別に水草が配植されますが、ネイチャーアクアリウムでは基本の三構図でも重要視される空間部分の植栽において下草が多く採用されます。水槽の中央や背面側にも背の低い水草が植えられることで、自然景観が持つ奥行きや構成美を表現することができるのです。ここでは、「佗び草」と「BIOみずくさの森」のラインナップの中から、下草に適した種類をピックアップして紹介します。足元にも自然が広がっているように、水槽内での貢献度が実は大きい「下草」たちにも目を向けて水草栽培を楽しんでみてはいかがでしょうか。
01. 佗び草 ピグミー・マッシュルーム 5Ø
ランナーで殖え素材の隙間などからも葉を展開でき自然感を増す。

02. 佗び草 ショート・ヘアーグラス 5Ø
低い背丈で扱いやすく密度調整で爽やかさや雑草感が表現できる。

03. 佗び草 オーストラリアン・ヒドロコティレ 5Ø
細かな葉を展開しツル植物を思わせる容姿から野生味も得られる。

04. 佗び草 キューバ・パールグラス 5Ø
安定増殖にコツが必要となるが佗び草なら置くだけで密植が可能。

05. 佗び草 ラヌンクルス・イヌンダタス 5Ø
独特の裂状葉を持つため他の下草に混ぜてアクセントとしても◎。

06. 佗び草 ニューラージ・パールグラス 5Ø
丸葉が高密度で広がる群生から柔らかい印象の下草表現ができる。

07. 佗び草 グロッソスティグマ 5Ø
高密度で栽培されており速やかに広がる下草の代表種とも言える。

 
01. BIOみずくさの森 エキノドルス・テネルス
単植でもポイント植えでも細長い草姿による自然味表現ができる。

02. BIOみずくさの森 インディアン・クラススラ
細かい葉茎で繊細に広がるが環境により斜上生長することも。

03. BIOみずくさの森 リシア
光合成の気泡を付けやすいため他の下草と趣の違った表現となる。

04. BIOみずくさの森 ベトナムゴマノハグサ
匍匐する性質を持つため茂るように育つ下草として使用ができる。

05. BIOみずくさの森 ヘアーグラス
やや丈が高くなるため水槽サイズに合わせて植栽位置を決定するとよい。

06. BIOみずくさの森 スタウロギネ・レペンス
生長が緩やかなため有茎草としては景観が維持しやすい。

07. BIOみずくさの森 ウォーターローン
高い密度で殖えやすく淡黄緑色の単一林床のような表現もできる。

08. BIOみずくさの森 ヒドロコティレ・ミニ
ランナー性で覆うように他の下草や素材の上にも広がりをみせる。

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