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NATURE IN THE GLASS 「樹霊の聖域」

aquajournaljpアクア・ジャーナル編集部
[ 樹霊の聖域 ]
流木のもとに水草や魚たちが寄り集まり、多様な生き物が長い間暮らし続けているような風景をイメージして制作した。これまでに自分が赴いた先々の自然から、木々の質感や石の並びなどの要素を取り入れて構図の構成要素とし、自然の植生をよく理解することは、水草の配植バランスを決める上で重要である。水槽の中に自然生態系を再現することがネイチャーアクアリウムの本質であり、その極められた美しさを引き出すためには、長期維持の概念が欠かせない。堂々とした流木の存在感と時間経過とともに水草が繁茂し神秘さが増した聖域のような場所を目指した。
ⒸAQUA DESIGN AMANO
DATA
撮影日 : 2023年10月20日(ADA)
制作 : 本間 裕介(レイアウト制作・文)
水槽 : キューブガーデン W1,800×D600×H600(mm)
照明 : ソーラーRGB ×3(1日8時間30分点灯)
ろ過 : スーパージェットフィルター ES-2400(バイオリオG)
素材 : ホーンウッド、山水石
底床 : アクアソイル-アマゾニア Ver.2、パワーサンド・アドバンスL、バクター100、クリアスーパー、トルマリンBC
CO2 : CO2パレングラス・ビートル50Ø、CO2ビートルカウンターで1秒に5滴(タワー使用)
AIR : リリィパイプP-6によるエアレーション 夜間消灯時15時間30分
添加剤 : ブライティK、グリーンブライティ・ミネラル、グリーンブライティ・アイアン、グリーンブライティ・ニトロ
換水 : 1週間に1度 1/3
水質 : 水温25℃ pH:6.2 TH:50mg/L
植物 :
ヨーロピアンクローバー
スタウロギネ・レペンス(BIO)※
コブラグラス・ブラジリエンシス(BIO)※
ヘアーグラス(BIO)※
エキノドルス・テネルス(BIO)※
エキノドルス・ホレマニー・レッド
エキノドルス・グリーンペッパー
クリプトコリネ・アルビダ
クリプトコリネ・ウェンティ・グリーン(BIO)※
クリプトコリネ・ウエンティ・ブラウン(BIO)※
クリプトコリネ・キリアータ
クリプトコリネ・ペッチィ
クリプトコリネ・バランサエ
クリプトコリネ・スピラリス タイガー(BIO)※
ルドウィジア sp. クリスタル
エイクホルニア・ディバーシフォリア
ポタモゲトン・ガイー
ラージリーフハイグロ
ツーテンプル
クログワイ
ブリクサ・アウベルティ レッド
エリオカウロンsp. ソーシャルフェザーダスター(BIO)※
クリナム・アクアティカ(ナローリーフ)
シペルス・へルフェリー
アヌビアス・アフゼリィ
アヌビアス・ハスティフォリア
ミクロソラム・プテロプス
ミクロソラムsp.トライデント ナロー
ボルビティス・ヒュデロッティ
プレミアムモス ※
ウィローモス(モスバック)※

魚種 :
ラスボラ・サラワクエンシス
ラスボラ・エスペイ
インドドワーフグリーンバルブ
チョコレートグラミー
サイヤミーズフライングフォックス
オトシンクルス
ヤマトヌマエビ

※はADA生体製品ラインナップです。

造形的な構図骨格をベースに長期維持によって成熟した水草景観

2023年1月20日 撮影
迫力と遠近感を意識した構成
ホーンウッドは形や大きさのバリエーションの豊富さから組み合わせの自由度が高く、造形的な構図や迫力ある構図を組むことに適している。本水景では、基本の凹型構図に倣いつつ、右端に大きめのホーンウッドを配置して陰影の印象を強め、構図骨格のポイントである中央の3つ並ぶホーンウッドに対し、より遠近感を感じられる構成とした。
A ウィローモスの活着
ウィローモスを活着させることで木肌の印象が適度に和らぎ自然感が増した雰囲気に。

 
2023年1月23日 撮影
植栽で変わる流木の印象
造形的な構図に比例するように、前景から中景は緻密に水草が混栽され、水草の多様さを意識した配植となっている。対して背景はテープ状水草を植栽し、開放的な雰囲気を感じられる構成でまとめられている。
B シダ同士の組み合わせ
自然感を高めるようにミクロソラムとボルビティスを組み合わせて植栽した。理想の配植・配置のバランス感を維持するためには、シダ同士の生長差をよく観察した上で、葉や株の間引きを行うなど適切な葉数の調整が肝心。

 
C 下草の混栽における注意点
エキノドルス・テネルスやヨーロピアンクローバーなど生長過程に差が大きい5種類を下草として混栽している。このような配植をする際は、ただ雑然と混栽してしまうと野暮ったい印象になってしまうため、生長速度や葉色の違いなどをよく理解し、適切な植栽量を意識したい。

 
2023年10月20日 撮影
時間経過で増す水草たちの味わい深さ
適切に維持管理がなされた水草たちが、長期維持によって成熟し水景全体が趣のある様相となった。前景、中景、背景と水草を植え分けるネイチャーアクアリウムの様式美によって美しい階層構造が生まれている。
D ルドウィジア sp. クリスタル
本種の魅力はトリミングと適切な栄養素添加で発揮される。水景を華やかに彩るとともに凹形構図のアクセントとして中央の空間の印象を強調させる効果がある。

 
E シダ類の着生表現
葉の大きさに違いがあるミクロソラムsp.トライデント ナローとミクロソラム・プテロプスを混栽して自然感ある立体的な造形に。流木を覆うように生長した株は時間経過を強く感じさせてくれる。
F 下草の混栽景観
エキノドルス・テネルスの赤、スタウロギネ・レペンスの緑といった色の違いと、葉形・草丈の差異が、流木と石が入り組んだ構図構成と相まって、草むらのような野趣に富んだ下草景観となった。

 
G クリプトコリネの真価
中景草の定番種クリプトコリネだが、その独特な味わいは長期維持によっていっそう深みを増していく。葉裏の茶色味は、他の水草にはない色彩で景観に落ち着きを与えラスボラの体色とも相性がいい。

 

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