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着生スタイル 「活着性水草の効果的なレイアウトシーン」

aquajournaljpアクア・ジャーナル編集部
雨量や霧が多い環境では枝や樹幹が苔に覆われ、着生植物の姿も多く見られる。
着生植物とネイチャーアクアリウム
多様な生態系を育んでいるジャングル。その中でもスコールや霧が多く発生するエリアでは倒木、樹幹や枝、岩壁などに根を張り生活する植物が存在します。これらは着生植物と呼ばれ、シダ類やサトイモ科、蘚苔類などに多く見られます。そのほとんどは生長が緩やかなため、これらが息づくエリアの自然景観はとても長い年月を経て創られたものです。そこからは壮大で濃密なエネルギーやドラマを感じることができ、そういった自然感をレイアウトに表現することがネイチャーアクアリウムの本質なのです。そうした自然感の表現に欠かすことができないのがボルビティスやアヌビアスなどの活着性水草です。活着性水草は育成に時間は掛かってしまいますが、その時間すらも後の楽しみや感動につなげてしまう玄人好みの魅力を持っています。活着性水草でつくるネイチャーアクアリウムの緩やかな自然の時をあなたも感じてみませんか?

活着性水草の効果的なレイアウトシーン


活着性水草は生長が緩やかなものが多く成熟するまでに長い時間を要しますが、その時間経過が深みある自然表現となりレイアウトの完成度を高めることができます。ここからは活着性水草を用いたレイアウトや管理ポイントなどをご紹介します。
深く透明感あるシダ BOLBITIS STYLE
ボルビティス・ヒュディロッティは透明感ある濃緑色が特徴の活着性の水生シダです。その色味から、流木を組んだ際にできた影の印象をナチュラルに残したいときや、幽玄な印象のレイアウトにしたい場合に適しています。
W1,200×D450×H600(mm)
このレイアウトではブランチウッドの株元に活着させたことで、中景に独特の深みと立体感を生み出し、影を自然にいかしている。
NOTE
水流を好むため密生しすぎないよう古葉の除去や間引きを行いながら、葉と影の適切なバランスを保ちましょう。また、ボルビティス・ヒュディロッティの水中葉はヤマトヌマエビの食害を受けやすいため導入数には気を付けましょう。ヒゲ状の藻類が付着するようであればフィトンギット・プラスで対処。

 
明るい背景へとつなげる MICROSORUM STYLE
鮮やかな緑色が印象的なミクロソラム(現レプトキルス属)の仲間は、背景に鮮やかな有茎草を用いる際の中景草として効果的です。構図素材の隠したい部分や流木の陰などをカバーしながら、グラデーションや補色効果を狙い配植しましょう。
「群生の春」 W1,800×D600×H600(mm)
ミクロソラム・ナローリーフの株が放射状に葉を展開させており、凸構図の枝の動きとシンクロしているようで見ていて心地良い。
NOTE
向きがそろっていない葉や過剰に湾曲している葉などはカットし、整った株姿に仕上げましょう。葉先が半透明のものは新葉ですので注意してください。プロシザースMはミクロソラムの古葉を処理する際、奥まったところにある葉柄まで刃先でたどりカットしやすい。

 
古木から新芽が芽吹いているかのような水中演出 HYGROPHILA PINNATIFIDA & ANUBIAS STYLE
アヌビアスは陰生水草のため中景の流木などの陰になりやすい箇所に活着させるのが適しており、中景と背景を違和感なくつないでくれます。一方、ハイグロフィラ・ピンナティフィダは陽生水草のためアヌビアスの上方に配植するのがポイント。同じ活着系水草でも葉の形状が異なるものを組み合わせることでメリハリが生まれ、単調さは緩和されます。
「風吹くほとりに」 W600×D300×H360(mm)
ウィローモスと混栽するように活着させることで、時を経るごとに羽状深裂の個性的な葉はより際立って見え、野趣に富んだ印象に。
NOTE
ハイグロフィラ・ピンナティフィダの葉を赤く色づけたい場合は、十分な光量に加えてECA・プラスの添加が効果的。

 
独特の葉姿は中景のアクセントに BUCEPHALANDRA STYLE
同じサトイモ科のアヌビアスと似ていますが、葉柄や葉面の独特な光沢感は一線を画す魅力があります。自然下では水に浸かる川岸や岩場の上に群落を形成しています。そのため、レイアウトでは流木、または石の窪みや際に複数株をまとめて配植することで、本来の自然景観を演出することができます。
「生命をつなぐ」 W1,800×D600×H600(mm)
ここではホーンウッドに活着させたブセファランドラが、まるで木が朽ちてそこを拠り所に新たな生命が育まれているかのような小さな景観演出を担っている。
NOTE
生長は非常に緩やかで藻類がつきやすい。美しく維持するためには藻類除去能力の高い生体の導入を行いましょう。
ヤマトヌマエビ
ケイ藻やアオミドロなどの緑藻一般の対処に効果的。

サイアミーズ・フライングフォックス
頑固で除去しづらいヒゲ状の藻類の除去を得意とする。

 
自然感演出の名脇役 MOSS STYLE
流木の不自然な切り口の質感を緩和させたいとき、また時間経過で苔むした雰囲気を演出したい場合に欠かせない。レイアウト素材の表面に薄く広げて巻きつけるのがポイント。
「古木と芽吹き」 W1,800×D600×H600(mm)
NOTE
モスの種類に応じて専用ラインを使い分けるのが上手く活着させるポイント。
モスコットン
苔類と同様の濃緑色で巻き付けても目立ちません。木綿糸のため活着するタイミングで自然に溶けてなくなります。

モスコットンで巻くのがオススメ
ウィローモス/ピーコックモス/スパイキーモス/クリスマスモス/南米ウィローモステラライン
テラライン
化繊のため水中でも溶けて切れません。活着するまでに時間がかかる種類の植物でもしっかり固定できます。

テララインで巻くのがオススメ
フレイムモス/プレミアムモス/ウィーピングモス

 
次回、活着系水草のオススメ生体製品ラインナップをご紹介します。

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