［ マングローブに思いを馳せて ］
この水景はマングローブ林の原風景ををモチーフに、心象風景を掛け合わせて制作を行った。そこで生息する強かな木々の根をイメージして流木レイアウトの構成としている。高い光量下で美しく生長するタイガーロータスの下でミクロソラムなどの陰生水草が繁茂し、陰と陽の好む環境が異なる水草が互いに共存し合いながら生育環境を整えていく様子を狙った。

DATA
撮影日 : 2023年3月28日(ADA)
制作 : 内田 成（レイアウト制作・文）
水槽 : キューブガーデン W1,200×D500×H500（mm）
照明 : ソーラーRGB ×2（1日8時間30分点灯）
ろ過 : スーパージェットフィルター ES-1200（バイオリオG）
素材 : ホーンウッド、渓石
底床 : アクアソイル-アマゾニア Ver.2、パワーサンド・アドバンスM、バクター100、クリアスーパー、トルマリンBC、コロラドサンド
CO₂：CO₂パレングラス・ビートル40Ø、CO₂ビートルカウンターで1秒に5滴（タワー使用）
AIR : リィパイプP-6によるエアレーション 夜間消灯時15時間30分
添加剤 : ブライティK、グリーンブライティ・ミネラル、グリーンブライティ・アイアン、グリーンブライティ・ニトロ
換水 : 1週間に1度 1/3
水質 : 水温25℃　pH:6.2　TH:50mg/L
植物 :
タイガーロータスレッド
ニムファエア・イキトス
オレンジミリオフィラム
ロターラ・レディッシュ
ロターラ・インレー
エリオカウロンsp. ソーシャルフェザーダスター
ミクロソラム・ナローリーフ
アヌビアス・キリン ‘ミニ’
ブセファランドラ・シンタン（BIO）※
ブセファランドラsp.
ウィローモス（モスバッグ）※

魚種 :
ターコイズダニオ
クテノプス・ノビリス
ミクロラスボラブルーネオン
ペルヴィカクロミス・タエニアートゥス ‘ナイジェリアレッド’
サイアミーズ・フライングフォックス
オトシンクルス
ヤマトヌマエビ

※はADA生体製品ラインナップです。

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A.安定した構図骨格は維持管理おいて重要な要素
スイレンに光が当たるように縦のラインを意識して流木の配置を行っているため、流木の浮力も考慮して、構図の根元付近をサイズの異なる石を用いて念入りに固定した。

B.ADAマテリアルの活用で水景に明るさを
淡橙色の渓石と色調の近いコロラドサンドを組み合わせることで、水景の足元を調和の取れたハイトーンな仕上がりに。砂地と渓石の境にモスを巻きつけた石を置くなどすると、作為性が弱まり、より自然的な印象を与えてくれる。

 

C.パワーサンドとソイルの割合を調整した底床つくり
長期にわたって砂地の美観を損なわぬように、ソイルの漏れ出し防止を配慮し底床の斜度にも気をつけた。また、厚めに敷いたパワーサンドはスイレンやソーシャルフェザーダスターなどの根張りの良い水草の生育も考慮しており、底床内に十分な通水性を確保する目的がある。

 

完成

適度に水中に影が生まれた景観が作用したのか、魚たちも健やかに成長し、本来の美しい発色を見せてくれた。視覚的な美しさだけでなく、魚の気持ちに寄り添った水景クリエイトがネイチャーアクアリウムの本質的な魅力と言えるのではないだろうか。

D.メインプランツを引き立てる植栽
スイレンを展開させるために、株元まで光があたるように中～背景にかけての広い植栽エリアを設けた。周辺の水草は植栽の密度を抑え、多種との混栽で扱いやすいソーシャルフェザーダスターや、挿し戻しや摘み取りで維持できる有茎草をチョイスした。

 

E.下層部の印象を決定するシダの配置
構図のコンセプトと浮葉を展開するスイレンの観賞を損なわぬよう、下層から中層にシダの範囲を限定している。単調に見えないよう、ミクロソラムは株同士の大きさに変化をつけ、色調の対比を狙ってブセファランドラをスポット的に配した。