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GREEN information #2「特定外来生物について」

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特定外来生物に指定された動植物は育成や販売が禁止となってしまいます。これは、既存の生態系や農林水産業といった分野で悪影響を及ぼしてしまう生物と認定されてしまうためです。今後も本来の生態系や風景を守り、また生き物の観賞を楽しむためにも流出を防ぐ意識を強く持ちましょう。

希少な水草となっているミズアオイ【環境省レッドリスト:絶滅危惧II類】

人の手によって他の地域から入ってきた生物は「外来生物」と呼ばれます。生き物や木材などの輸出入といった世界規模での物流が発展した裏側に、問題視される生き物たちが存在します。また、日本国内を見ても北海道と沖縄では明らかに生物相が違うように、ひとつの国内でも距離的に離れている場合には、ほかの地域から移入した外来種という考え方が必要になります。

この外来生物の中でも特に生態系や農林水産業への悪影響を与えてしまう種類については、「特定外来生物」というカテゴリーに分類されています。これは「外来生物法」という法律に基づいたもので、「特定外来生物」に指定されている生物種は育成や販売、移動が禁止となります。現在、指定種は150種類を超えており、植物では19種類が指定されています。爬虫類や魚類、昆虫類ではそれぞれ20種類以上の指定を受けています。ヒアリやセアカゴケグモなど一部のものは毒をもつ生き物として人体への直接的な悪影響があるものもおり、マスメディアでも取り上げられています。
右側に群生する園芸種のスイレンと左側で葉を展開するオニバス【環境省レッドリスト:絶滅危惧II類】
では、自然界に流出させてしまうとどういったことが起きてしまうのでしょう?
自然界でも分散を経て特定の種類の生物が生活圏を広げていくことはごく一般的に起こることです。しかし、特定外来種に指定される生物たちは、人間の経済活動に付随して、自然分布とはかけ離れた状態で生活圏を移動させられています。この状態は、本来の自然界でおこる自然分布を経て生じる競合や弱肉強食といった生物間の関わり合いからかけ離れており、思いもよらない悪影響が発生することがあります。

こういった状態が続いてしまったり多発してしまうと、それぞれの環境で培われてきた本来の生態系が大きく崩れてしまいます。その結果、特定外来生物たちで形成された生態系に偏ってしまうと、生物多様性の考え方で重要となる生態系の多様性が損なわれてしまうのです。
帰化植物に分類されるオランダガラシ(クレソン)とワスレナグサが群生している湿地
アクアリウム業界や園芸業界では世界各地の多種多様な動植物が楽しまれています。
日々の何気ない取り扱いから環境流出させてしまうと、将来使用できなくなる生き物も現れかねません。そうなってしまうと、ホビーの中で育成を楽しむこともできなくなってしまい、レイアウトや育成の多様性も共に損なわれてしまうのです。

このような将来を迎えないためにも、グリーン・マナーの理念に沿って植物育成を楽しむようにしましょう。植物では剪定した切片等は環境流出させないよう可燃ごみなど適切に破棄ください。動物では責任をもって逃がさないこと、逃げ出さない工夫をした上で飼育ください。自然生態系の本来あるべき姿を大きく変えてしまわないためにも、

「植物の環境流出を防ぎましょう。環境影響への意識を持ちましょう。」

というグリーン・マナーを守って植物の育成をお楽しみください。

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