ADA

ネイチャーアクアリウム クロニクル 2010-2015

aquajournaljpアクア・ジャーナル編集部

NAシステムが導き出す超大型ネイチャーアクアリウム


2010-2012
東京スカイツリーに隣接するすみだ水族館に、容積と水槽サイズが当時(2012年)世界一となる幅4mと7mの超大型ネイチャーアクアリウムが制作された。それから10年と長期的に展示されているこの水槽の基本システムは、天野自邸の4m水槽のシステムをベースにしたもので、大容量のろ過装置や添加効率を優先した強制添加方式のCO2システムが組み込まれている。また、照明器具も同じ光源となるメタルハライドランプを装備した当時のフラッグシップモデル「グランドソーラーⅠ」が設置された。こうしてADAがこれまでに開発し、改良を続けてきたNAシステムを応用することで、超大型水槽も長期に渡り安定した状態を保つことが可能となった。また、水草の管理においては専門の管理スタッフによって水深のある超大型水槽用にメンテナンスツールが工夫、改良され、小型水槽での作業と大差ない、繊細かつ正確なメンテナンスが今日に至るまで行なわれてきている。こうした水族館での水槽展示においても、ADAが時間をかけて培ってきたノウハウが大いに生かされている。
ADAの専門スタッフによる一年を通じた管理計画により、水景が美しく維持管理されている。

夢と情熱の集大成


2013-2015
2015年、天野の水景クリエイター人生の集大成となる全長40mの巨大ネイチャーアクアリウム「Florestas Submersas(水中の森)」を特別展示としてポルトガルのリスボン海洋水族館に制作。現地の水族館スタッフやヨーロッパの水草愛好家も参加し、約1週間に渡って制作されたこの作品は、日本国内の水草愛好家から提供された水草も多く植栽され、まさに夢と情熱の詰まった作品となった。このとてつもない規模の水景は、ADAスタッフが現地に駐在してメンテナンスを行なってきた。制作当初はヨーロッパの水質の違いや、排水処理方法の基準による換水量の制限、照明器具の適切な照度設定に悩まされることになったが、天野自邸4m水槽やすみだ水族館の大型水槽のメンテナンスでの経験を生かして駐在スタッフは何とか解決策を見出した。また、ADAとしては初めての水槽への潜水による細かな管理作業も取り入れ、天野が意図したレイアウト表現を実現。こうして世界一大きなネイチャーアクアリウムは2015年4月に公開され、同年、リスボン海洋水族館は世界最大の旅行情報サイト・トリップアドバイザーの人気ランキングで水族館部門第1位となった。世界中に感動を与え大好評となったこの作品は、世界のアクアリストの憧れとして、そして環境モデルとして今も展示が続けられている。
全長40m水槽とは思えない緻密な表現が実現、維持されている。
水槽 W4000×D250×H150(cm) / 撮影日 2015年7月
次回「ネイチャーアクアリウム クロニクル 2016-2021」に続く。

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