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FIELD REPORT -自然から学ぶ陰性水草レイアウトのヒント-

FIELD REPORT -自然から学ぶ陰性水草レイアウトのヒント-

aquajournaljpアクア・ジャーナル編集部
今回のAJのテーマはシダ類と陰生水草の使い方ということで、レイアウトの参考となるフィールドを訪れることにした。取材の候補地としてまず思い浮かんだのが、新潟県五泉市を流れる新江川の上流域。この川は菅名岳(標高909m)中腹のどっぱら清水と呼ばれる湧き水が源となっており、きれいな水が流れる渓流の周りにはブナ林が広がっている。その渓流沿いの林床にはシダ類などが多く見られ、今回のテーマにうってつけの場所である。
森の中へ一歩踏み入れると、湿り気に満ちた空気へ一気に変化する。このような環境は、シダなどの着生植物が生育するにはまさにうってつけの場所と言えるだろう。
9月某日の早朝、後輩の水景クリエイター内田 成を伴ってどっぱら清水に向かう林道を登り始めた。林道が途切れ、本格的な登山道に入ると周りの風景が一変する。手つかずの原生林を思わせる自然が広がっているのだ。渓流沿いの登山道を歩きながら、夢中になって撮影をしていると、ある異変に気づいた。多数のヤマビルが足元からはい上がって血を吸っていたのである。後から聞いた話では、このコースはヤマビルが多いため菅名岳の登山道の中でも人気がないらしい。だが、これも自然が豊かな証拠と、気を取り直して取材を続行する。この場所は、水景と写真の師である天野 尚とも撮影に訪れたことがあるのだが、改めて訪れてみるとその濃密な自然に圧倒された。天野がそうしていたように、自然の中に身を置いて自然を肌で感じていると、新しいレイアウトのイメージがどんどん湧いてくる。ネイチャーアクアリウムの基本「自然から学ぶ」とは、そういうことなのかもしれない。

 

緑に包まれた山深い森の中で自然を感じる

天野とも撮影に訪れたことのある渓流。以前と変わらず、美しい水の流れが草木を潤していた。
新潟県 五泉市 新江川
渓流で見られる桂の大木。古い幹は枯れ、そこに新しい生命が宿る倒木更新をいたるところで見かけた。こういった生命の循環とも言える要素は、佗び寂びを感じる表現に深く結びついている。

 

林床の陰生植物
レイアウトのヒントは足元にある

倒木に宿った新たな生命は、そこから覆うように生長し、やがて朽ちた木は土に還る。その大事な働きを担っているのがまさにシダや苔などの着生植物だ。こういった植物の活着の仕方はレイアウトに生かす良いインスピレーションとなるだろう。

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