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ADA Review 「群生美をつくる7STEP」

ADA Review 「群生美をつくる7STEP」

aquajournaljpアクア・ジャーナル編集部
群生美表現は、ネイチャーアクアリウムの中でも難しいテクニックだと思われがちですが、水草の特性を理解することで誰でもきれいにつくることができます。ここでは、群生美を楽しむ上で押さえておきたい7ステップを水景クリエイター内田 成のポイント解説とともにご紹介します。

STEP 1 水草の選定


使用する水草や配植を決める前に、水草の特性を復習しておきましょう。適材適所に水草を配植することで後のメンテナンスもしやすくなります。
水草の特性を考慮する
配植の際、水草の生長速度とトリミングの強さを考慮しましょう。基本的に生長速度の遅い水草ほど手前に植栽します。上図の水草は「BIOみずくさの森」でラインナップされており、クリーンな状態の水草が入手できます。
ワンポイント:生長が遅い水草は他の水草にのみこまれやすいため、植栽時のイメージ通りにならないかもしれません。 あらかじめ十分な植栽スペースを確保しておくことがポイントです。
赤系水草は構図の重心位置に
赤系水草や大きめの葉など印象が強い水草は、構図の重心位置に配植すると安定感が生まれます。

 



 

STEP 2 植栽


植栽時のひと手間が、美しい群生のための第一歩です。下記の項目をクリアして、良いスタートを切りましょう。
【俯瞰】 水草の植栽量が少ないと、意図しない貧相な茂みになってしまいます。構図段階で植栽スペースは底面の1/3程度を目安に確保しておきましょう。

【側面】 盛土をすることで植栽面積が広くなるため配植の選択肢が多くなります。また、傾斜によってボリュームのある茂みをつくりやすくなる効果もあります。
ワンポイント:「BIOみずくさの森」を植栽する際、カビの発生原因になりやすい培地はよく洗い落としましょう。株は斜め方向から植え込むと、注水しても底床から抜けにくくなります。
【植栽方向】 水草を植栽しやすいように底床が浸る程度に水を張り、プロピンセットを使用して草体をレイアウト素材側に倒しながら手前から植栽していきましょう。

佗び草もオススメ!
あらかじめ高密度で植栽されている佗び草なら置くだけで群生美が自然と形成されます。

 



 

STEP 3 トリミング


群生をつくる上で避けては通れない必要な作業です。トリミングを重ねて密生感のある群生美を目指しましょう。
有茎草のトリミング方法
植栽後1か月前後で1回目のトリミングを行い、カットした有茎草は密度の薄い箇所に植え足します。2回、3回と繰り返すことで茎を分岐させて密生させます。
ワンポイント:トリミングには小回りが利くプロシザース・ショート ストレートタイプとカーブタイプが便利です。シチュエーションに応じて使い分けましょう。
トリミングライン
正面方向のトリミングは、背面に養生テープなどで目印をつくると失敗しにくいでしょう。側面方向は、下図のように頂点から鋭角にカットしていくのがコツです。

グリーンゲイン・プラス
トリミング後の水草は一時的にストレスを受けているため、抵抗力を高める効果のあるグリーンゲイン・プラスを添加し、新芽の展開を促しましょう。

 



 

STEP 4 間引き


トリミングによって群生が完成した後は、有茎草を適宜間引いてあげることで長く見ごろを維持することができます。
ワンポイント:間引く際は、脇芽があればその上をカットしましょう。間引きで維持していても光が当たりにくい下茎部は弱っていくので、必ず挿し戻しましょう。ちなみにこの手法は、イベントなどで水景の見ごろを長く維持するための管理から生まれました。
間引くことで群生美を維持する
トリミングによる維持だけでは密生しすぎるため、通水性が悪くなりアオミドロの発生原因にもなります。 隣り合う水草に高低差をつけて間引くことで、長く見ごろを維持できます。

 



 

STEP 5 挿し戻し


有茎草の挿し戻しは水景の長期維持には欠かせません。 生長が始まると、STEP3の手順に戻りましょう。
サイズ別にカット
有茎草を根元から引き抜き、弱った下茎部をカットします。残った有茎草の本体は、頂芽を残してカットし3サイズくらいに分けましょう。
ワンポイント:作業後、底床が崩れた場合はソイルを追加します。また、底床内の栄養分が不足している場合はこのタイミングでボトムプラスで追肥をしましょう。
短い順に挿し戻す
切り分けた有茎草は小さい順に前方から後方へ挿し戻しましょう。こうすることで、発根して生長が始まると頂芽のラインがきれいにそろいます。

 



 

STEP 6 液体栄養素の添加


適切なタイミングで液体栄養素を添加することが群生美をつくるカギとなります。 水草の生長状態に応じた液体栄養素を選び添加しましょう。
ワンポイント:トリミング後の水草は盛んな光合成が行われず、栄養素を吸収しきれません。規定量よりも少ない量から液体栄養素の添加を始めて様子を見ながら段階的に増やしていくことがポイントです。
グリーンブライティ・ニュートラルK / ブライティ K
光合成を促進するため、セット初期の段階から添加を始めます。ある程度硬度を好む水草や水道水のpHが低い場合はブライティKが適しています。

グリーンブライティ・ミネラル
水草の生長にミネラル分は欠かせません。セット初期から2カ月前後の間はニュートラルKと組み合わせて添加しましょう。

グリーンブライティ・アイアン
水草繁茂期を迎える2〜3カ月以降で添加します。鉄分の働きで葉色が鮮やかになり、生長をさらに促します。また、白化予防にもなります。

グリーンブライティ・ニトロ
長期維持していくと底床内に含まれる窒素分が欠乏して水草の白化が見られます。水草の生長が鈍る前にニトロを添加しましょう。

 



 

STEP 7 ワンランク上の群生美を


群生美をより美しく演出するグッズを活用して、ワンランク上のネイチャーアクアリウムを完成させましょう。
ワンポイント:トリミング後、切り残した水草が茂みから飛び出してくることがあり景観を乱すことがあります。これらをこまめに摘み取り、茂みのラインを常に整えて群生美をキープしましょう!
ライトスクリーン 60
ライトスクリーンは水槽背面に取り付けるLEDバックライトです。背面から光を当てることで有茎草のシルエットがより美しく際立ちます。調光機能も付いているためお好みの光量に微調整することが可能です。

ECA・プラス
ECA・プラスを添加して、水草の状態もワンランクアップさせましょう。有機酸と二価鉄によって葉色がより鮮やかになり、さらに白化予防にも効果があります。

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