INTERVIEW 2022.01.07
ADA SUIKEI CREATORS #02「井上 大輔」
SPECIAL FEATURE 「ADA 水景クリエイター」
2ヵ月間に渡って開催された「NATURE AQUARIUM EXHIBITION 2021 TOKYO」（以下NAE）。5人の水景クリエイターそれぞれが現在のベストを表現し、継承したネイチャーアクアリウムをさらに広めていくスタート地点となりました。 好評のうちに閉幕した今、彼らの心境や今後の目標について訊ねてみたいと思います。
オリジナル表現を通して、ネイチャーアクアリウムの新たな可能性を追求していく
マイベスト グリーン・ヘブン
今回NAEのために制作した2水景のうち、「グリーン・ヘブン」は、これまで制作してきたものとはまったく違った観点で生まれた水景になったと思います。水景をつくる際、自然風景からインスピレーションを得るなどさまざまな手法がありますが、最近は想像上の自然をモチーフにしたり、テーマを定めたりしてつくることが多いです。「グリーン・ヘブン」はライトグリーンのシンプルな水草の中に、無数のネオン・テトラが煌めく、空想上の幻想的な自然をテーマにした水景で、後で思い出そうとしたときに明確な形として思い出せないような抽象的な世界観で構成されています。ただ、一般的なネイチャーアクアリウムとは少し違った方法で制作した水景だったので、管理の面でNAEの開催期間の間、水草の状態を維持できるかという不安はありましたが、それさえクリアできれば必ずいい水景になるという自信はありましたし、この水景をたくさんの人に見ていただきたいという思いから、NAEで展示することを決めました。
自分にしかできないオリジナル表現
私がつくる水景は個性的や奇抜と言われることがよくあります。しかし、あえて奇をてらった表現を目指しているからではなく、強いて言うならば、テーマや考えを最優先にしてつくっている水景が多いことに起因していると思っています。空想の世界をモチーフにする場合、ネイチャーアクアリウムの基本は踏襲しつつも、構図にお手本がありません。そのため、既出表現の中に埋没していない自分にしかできない表現方法、つまりオリジナリティにつながっているのだと思います。「グリーン・ヘブン」は一見シンプルに見えますが、イメージを固めるためにかなりの時間とエネルギーを要しています。構想の段階で多数のアイデアやそれを構成するさまざまな要素をまず出せるだけ出して、その中から引き算してシンプルにまとめました。そんなアイデアを次々生み出せるようになるのが今の目標です。それと、私の中で構図の段階で周囲のスタッフに心配されたほうが、最終的にいい水景になるというジンクスがあります（笑）。心配されるということは完成像を容易に想像できないからであって、結果的にいい意味で期待している想像を裏切れるからだと考えています。自分にしかできないオリジナル表現を通して、ネイチャーアクアリウムの新たな可能性を感じてもらいたいです。
私がつくる水景は個性的や奇抜と言われることがよくあります。しかし、あえて奇をてらった表現を目指しているからではなく、強いて言うならば、テーマや考えを最優先にしてつくっている水景が多いことに起因していると思っています。空想の世界をモチーフにする場合、ネイチャーアクアリウムの基本は踏襲しつつも、構図にお手本がありません。そのため、既出表現の中に埋没していない自分にしかできない表現方法、つまりオリジナリティにつながっているのだと思います。「グリーン・ヘブン」は一見シンプルに見えますが、イメージを固めるためにかなりの時間とエネルギーを要しています。構想の段階で多数のアイデアやそれを構成するさまざまな要素をまず出せるだけ出して、その中から引き算してシンプルにまとめました。そんなアイデアを次々生み出せるようになるのが今の目標です。それと、私の中で構図の段階で周囲のスタッフに心配されたほうが、最終的にいい水景になるというジンクスがあります（笑）。心配されるということは完成像を容易に想像できないからであって、結果的にいい意味で期待している想像を裏切れるからだと考えています。自分にしかできないオリジナル表現を通して、ネイチャーアクアリウムの新たな可能性を感じてもらいたいです。
動画とネイチャーアクアリウムとの未来
今回のNAEでは、すみだ水族館の自然水景の水中動画や、レイアウト制作のダイジェスト動画を制作しました。普段はADAviewなどの各媒体で動画の撮影や制作をしていますが、近年、動画自体の需要も高まっていることもあり、より可能性を感じています。4K・8Kモニター、プロジェクションマッピングなど動画技術の進化による表現の幅も広がっていますし、それはネイチャーアクアリウムの可能性を引き出すことにもつながるんじゃないかって思っています。
今回のNAEでは、すみだ水族館の自然水景の水中動画や、レイアウト制作のダイジェスト動画を制作しました。普段はADAviewなどの各媒体で動画の撮影や制作をしていますが、近年、動画自体の需要も高まっていることもあり、より可能性を感じています。4K・8Kモニター、プロジェクションマッピングなど動画技術の進化による表現の幅も広がっていますし、それはネイチャーアクアリウムの可能性を引き出すことにもつながるんじゃないかって思っています。
「パーフェクト・レインボー」
自分の好きな水草を集めて、それぞれの水草の個性を生かすように配植することを優先し、細かなレイアウト構成はあえて気にしなかった。初めは散漫な印象であったが制作から1年以上が経過した現時点では、水景に自然なまとまりが備わってきたように思える。水草たち自らの生長によって形成された景観には、人為的な管理だけでは表現できない自然感が生まれる。これもまたネイチャーアクアリウムの醍醐味と言えるだろう。
自分の好きな水草を集めて、それぞれの水草の個性を生かすように配植することを優先し、細かなレイアウト構成はあえて気にしなかった。初めは散漫な印象であったが制作から1年以上が経過した現時点では、水景に自然なまとまりが備わってきたように思える。水草たち自らの生長によって形成された景観には、人為的な管理だけでは表現できない自然感が生まれる。これもまたネイチャーアクアリウムの醍醐味と言えるだろう。
DATA
水槽：キューブガーデン W120×D50×H50（cm）
水草：
コブラグラス
ジャイアントサジタリア
エイクホルニア・アズレア
アヌビアス・ハスティフォリア
ルドウィジア・スファエロカルパ
魚種：
ネオンドワーフ・レインボー
オトシンクルス
ヤマトヌマエビ
水槽：キューブガーデン W120×D50×H50（cm）
水草：
コブラグラス
ジャイアントサジタリア
エイクホルニア・アズレア
アヌビアス・ハスティフォリア
ルドウィジア・スファエロカルパ
魚種：
ネオンドワーフ・レインボー
オトシンクルス
ヤマトヌマエビ
［グリーン・ヘブン］
暗闇の中、無数のきらめく光を追っていくと、そこには浮遊感のある幻想的な水中の森が広がっていた。そんなストーリーを思い描いて制作した水景。観賞時にはライトグリーンの丸葉がふわふわと漂う水草の印象が強いと思うが、後で思い出そうとしたときに明確な形として思い出せないような曖昧な印象表現を狙った。キラキラと輝くネオン・テトラが幻想的な世界を彩り、ファンタジーの世界に誘っているかのようにも見える。
暗闇の中、無数のきらめく光を追っていくと、そこには浮遊感のある幻想的な水中の森が広がっていた。そんなストーリーを思い描いて制作した水景。観賞時にはライトグリーンの丸葉がふわふわと漂う水草の印象が強いと思うが、後で思い出そうとしたときに明確な形として思い出せないような曖昧な印象表現を狙った。キラキラと輝くネオン・テトラが幻想的な世界を彩り、ファンタジーの世界に誘っているかのようにも見える。
DATA
水槽：キューブガーデン W180×D60×H60（cm）
水草：
アマゾンチドメグサ
オーストラリアン・ドワーフヒドロコティレ
カルダミネ・リラタ
アンブリア
アマゾン・フロッグビット
魚種：
ネオン・テトラ
オトシンクルス
ヤマトヌマエビ
水槽：キューブガーデン W180×D60×H60（cm）
水草：
アマゾンチドメグサ
オーストラリアン・ドワーフヒドロコティレ
カルダミネ・リラタ
アンブリア
アマゾン・フロッグビット
魚種：
ネオン・テトラ
オトシンクルス
ヤマトヌマエビ
