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TOP OF THE WORLD 2020 #01

TOP OF THE WORLD 2020 #01

aquajournaljpアクア・ジャーナル編集部

THE INTERNATIONAL AQUATIC PLANTS LAYOUT CONTEST 2020
GRAND PRIZE


Siak Wee Yeo シャーク・ウィー・ヨー
マレーシア/Eden
Aquarium Size W120×D60×H50(cm)
水草
アヌビアス・ナナ・プチ
アヌビアス・ミニマ
ウォーター・フェザー
プレミアムモス
クリスマスモス
ニューラージ・パールグラス
キューバ・パールグラス
ロターラ・ワリッキー
ロターラ sp. Hra
ベトナム・ゴマノハグサ
ヘアーグラス
ミニ・ヘアーグラス
クリプトコリネ・ウェンティ・ミニ

魚種
ラスボラ・へテロモルファ
サイアミーズ・フライングフォックス
オトシンクルス
ヤマトヌマエビ
ヒメヌマエビ属の一種
大きな流木が持つダイナミズムがそのまま作品の迫力となり、見る者を惹きつける力がありました。垂れ下がった木や水草の表現自体に目新しさはないものの、そのバランスと構成がうまく、この作品の印象を見事に特徴付けています。さらに言えば、空間の取り方と遠近感の表現方法が巧みであり、すべてカメラアングル(魚の撮影ポジションさえ)も予め計算してレイアウトが構成されているのでしょう。その完成した写真作品からは、作者の自信すら感じられました。完成度が高く、個性的もしくは技巧的な作品が並ぶ上位作品群の中で、確かにこの作品は選ばれる魅力を持っており、3人の審査員がベストアクアリウムに選んでいます。作者の過去のIAPLCの実績も含め水草レイアウトに対する並々ならぬ情熱が感じられ、20周年の記念大会にふさわしいグランプリ作品だったと思います。

IAPLC実行委員会 代表  大岩 剛

 

アクアスケープは私の人生の一部。
子供たちと一緒に自然について学び趣味を共有しています。

年齢/37歳
職業/システムアドミニストレータ
アクアリウム歴/13年
その他の趣味/写真、ジャングルトレッキング、ガーデニング
過去の受賞歴/
IAPLC2009 19位
IAPLC2012 2位
IAPLC2013 9位
IAPLC2014 23位
IAPLC2017 17位
IAPLC2019 5位
AJ 今年のランキング結果を見たときの感想を聞かせてください。
今年は新型コロナウィルスの世界流行により結果発表が特別な年になりました。去年までは、世界ランキング発表前に結果通知を受け取りましたが、今年の結果はADA YouTubeチャンネルのライブ配信で発表されました。発表の日、私はテレビの前で準備し、別のラップトップで友人たちとビデオ会議でつながりました。上位作品が順に発表されながら、自分の心臓音がどんどん速くなったことを今でも覚えています。上位7作品の発表前に複雑な気持ちになりました。私はTOP7に入賞できることを願う一方で、7位よりもさらに良い順位を獲得できることを願っていました。上位7作品の発表が始まり、金賞が発表され、グランプリの発表を待たされるまで、その一瞬一瞬を通過するのは大変なものでした。ビデオ会議の友人皆が、その瞬間の私の顔はとても面白く、険しいと言っていました。ついに、自分がグランプリを受賞したことが発表されました。数分間、私はほとんど空になり、ビデオ会議、テキストメッセージ、電話を通じて、友人たちからのお祝いの言葉が届きました。私の家族は飛び回り、そして娘は結果を聞いて涙を流しました。水槽の立ち上げ期間中に娘は私に度々同行し、作品を完成させるまでどれだけ時間を費やしたか理解していたからです。2008年に初めてIAPLCに参加してから13年間、望んでいた夢がついに実現しました。この幸せを世界中のすべての参加者に分かち合い、毎年私たちと共にあるこの素晴らしいコンテストに感謝します。

AJ 今回の作品の発想はどこから得られたものなのでしょうか。
私のレイアウトは2つの大きな流木でできています。インスピレーションは石灰岩の山の風景からきています。お気に入りのジャングルプラントであるベゴニアを研究し、それらが湿った地域、高湿度の地域で生長していることに気付き始めました。私はベゴニアの自生地である多くの石灰岩の山々を見ることができました。インターネットでさらに研究し、多くのアイデアが頭に浮かび、石灰岩の山をテーマにしたレイアウトをつくり始めました。数カ月後、マレー半島の東海岸にある石灰岩の山の1つに出向きました。この旅行の後、私はレイアウトをつくるために多くのアイデアを得て、水草とハードスケープを組み合わせる新しい考えを持ちました。全工程が完了するまでに約6カ月かかりました。これは、これまであったことのない実り多き旅でした。

 
このように隆起した石灰岩にしがみつくように、多くの熱帯植物が生えています。
ベゴニアの仲間はお気に入りの植物の1つで、マレー半島でいくつかの種類が観察できます。
ジャングルトレッキングに同行した仲間たちと。自生地での発見は大きな喜びです。
AJ 今回のレイアウト制作にあたって最も苦労した点はどこですか。
このレイアウトは2つのとても大きな流木でつくりました。中央の流木は巨大です。私は20本以上の小さな木材を結合させ、中央の巨大な流木を構成しました。難しかったことは、レイアウト構成全体を維持するために、この巨大な流木をメンテナンスすることです。また、このレイアウトを維持するのは難しいと思いました。このレイアウトには多くの垂れ下がる木があったからです。換水や水草のトリミングなどのメンテナンスの際は、森の部分が崩れないように特に注意する必要がありました。

AJ 作品に使用されているレイアウト素材について教えてください。
レイアウト中央の底床の上に、2つの巨大なマラヤ流木を置きました。特殊な質の小さな流木を使用して一つの巨大な流木を形成し、構図全体に迫力をつけました。
AJ 水草レイアウトの一番の魅力とは何ですか。
私は中学から16年以上この趣味に没頭しています。この趣味が好きな主な理由は、私はガーデニング、植物採集、トレッキングなどの自然の活動がもともと好きだったからです。
私にとって、アクアスケープは私の人生の一部です。水槽で泳いでいる魚や水草を見るのは喜びです。大変な仕事のストレスも和らぎます。大人になり、また親になって、この趣味をさらに表現し、子供たちとも一緒に 楽しんでいます。私は子供たちに自然や水槽の生態系について教えたり、子供たちを自然の棲息地に連れていき、神によってつくられた緑に触れさせています。

 

グランプリ作品の制作工程。

AJ IAPLCで勝つための秘訣はありますか?
IAPLCで勝つためには、100%の努力、200%の情熱、そして300%の運が必要です。要するに、勝利の秘訣はありません。けれども、毎年まじめに続ける必要があります。あなたの情熱を分かち合うため、一生懸命努力してください。そして運が来るのを待つのです。

AJ 今後の目標などはありますか。
近い将来、コンテスト用ではなく純粋なネイチャーアクアリウムを制作できたらいいと思っています。自分の家のデザインに合わせて、純粋なアクアスケープ体験を楽しみたいです。大きなエンゼル・フィッシュが泳いでいる
天野 尚氏の家の居間にあるような巨大水槽を夢見ています。

AJ 同じ趣味の方とグループ活動などはされていますか。
マレーシアで最も活発で有名なアクアスケープクラブは「リトルグリーンコーナー」です。このグループでは、水草レイアウトについて常に話し合っています。 4年前、コンテストに興味のある愛好家を対象にプライベートセミナーを開始しました。残念ながら、コンテスト応募まで続く人は多くありませんでした。私たちはマレーシアで、この素晴らしい趣味におけるより多くの参入者に影響を与えられるよう努めています。

AJ 世界水草レイアウトコンテストとはどのような存在ですか。
世界中の多くのコンテストの中で、IAPLCは私の人生で重要なイベントの一つになりました。
IAPLCは最も有名なコンテストであり、世界中のすべての水草レイアウターにとって最高の栄誉あるコンテストです。ただし、新しい審査方法はIAPLCの透明性に影響を与えたと思います。 2015年以前、IAPLCは各審査員の個別の合計スコアをコンテスト作品集に掲載していました。しかし、2015年以降は、総合得点の表示となりました。コンテスト参加者として、各審査員の得点は非常に重要です。これは、各レイアウトから各審査員の好みを分析するのに役立ちます。ただ私は、IAPLC実行委員会の審査方法の決定を尊重したいと思っています。

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