悠久の時の中で朽ちゆく流木を包み込む新しい生命の輝き

［ 生命のゆりかご ］ この作品は、構図素材の流木からインスピレーションを得て制作したものである。古い朽ちた流木の持つ渋いイメージからラスボラ・カロクロマの泳ぐ姿が浮かび、そこからアジア、ラゲナンドラとイメージをつなげて水景の構成を決めた。倒木や流木は、長い時間をかけて朽ち果てて土に還っていく。その過程で、さまざまな生き物が流木の周りに集まり、新しい生命が生まれる。苔に覆われた流木が朽ちていく様子と、それとは真逆の新しく生まれた生命が輝き生長する様子の対比が、この作品のテーマである。流木は新しい生命を見守りながらその役割を終えていく。そして、流木を包み込んだ植物は、新しい生命のゆりかごとなる。

DATA

撮影日：2019年9月19日（ADA）
制作：本間 裕介（レイアウト制作・文）
水槽：キューブガーデン　W120×D50×H50（cm）
照明：ソーラーRGB ×2（1日8時間30分点灯）
ろ過：スーパージェットフィルターES-1200(バイオリオL)
素材：流木、山水石
底床：アクアソイル-アマゾニア Ver.2、パワーサンド・アドバンスL、バクター100、 クリアスーパー、トルマリンBC
CO₂：パレングラス・ビートル40Ø、ビートルカウンターで1秒に5滴（タワー使用）
AIR：リリィパイプP-6によるエアレーション　夜間消灯時15時間30分
添加剤：ブライティK、グリーンブライティ・ミネラル、グリーンブライティ・アイアン、 グリーンブライティ・ニトロ
換水：1週間に1度　1/3
水質：水温25℃　pH：6.4　TH：20mg/L

植物：ジャングルプランツ ラゲナンドラ・ミーボルディ・ヴィネイチャンドラ/ BIO ラゲナンドラ・ミーボルディ・グリーン/ BIO ラゲナンドラ・ミーボルディ・レッド / BIO ラゲナンドラ・ケラレンシス / BIO ショート・ヘアーグラス/ BIO ヘアーグラス / BIO ブリクサ・ショートリーフ/ BIO ベトナムゴマノハグサ / BIO シペルス・ヘルフェリー / BIO エキノドルス・テネルス / 佗び草マット プレミアムモス / 佗び草マット ウィーピングモス / 佗び草マット ウィローモス/ ラージリーフ・ハイグロ / チェリーリーフ・ハイグロ / ポリゴナムsp. / エキノドルスアングスティフォリア / 南米ウィローモス

魚種：ラスボラ・カロクロマ / シザーステール・ラスボラ / グリーンバルブ / サイアミーズ・フライングフォックス / オトシンクルス / ヤマトヌマエビ

朽ちゆく流木の表現
流木が朽ちながらしだいに倒れていく様子を再現するため、流木の角度を抑えて配置し、石でしっかりと固定した。

 

 

 

モスは3種類使用
活着しにくいプレミアムモスと南米モスの上に、ウィローモスを被せた小石を配置。流木の溝にもプレミアムモスを挟み込んだ。

 

①ラゲナンドラの植栽
構図のV字部分や流木の陰になる部分に、ラゲナンドラをポイント的に植栽。東南アジアをイメージさせる自然感が簡単に表現できる。

 

①陰生水草のラゲナンドラ
ラゲナンドラは、NAギャラリーでもクリプトコリネに代わって用いられるようになった。陰生水草であるため、流木の陰への植栽にも適している。

 

②水景の視点を考えた配植
自然に近づいて見た視点の水景であるため、有茎草は葉のサイズが大きめの種類を選択。ポリゴナムやテープ状の水草を混栽して自然感を高めた。

 

③モスで佗び、寂びを表現
混ぜ込んで流木に活着させた3種類のモスは、生長速度が異なるため、時間の経過と共にその表情が変化していく。これが佗び、寂びの表現になる。

 

④魚種から水草を選択
朽ちていく流木と苔の渋いイメージから、レイアウト制作前に魚はラスボラ・カロクロマに決めていた。魚種にマッチするように水草を選択した。