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NATURE AQUARIUM EXHIBITION 2021 TOKYO Special interview 「本間 裕介 × 井上 大輔」

aquajournaljpアクア・ジャーナル編集部

ネイチャーアクアリウムでの独自の表現は「創る」と「撮る」の相互作用から生まれる


井上 今回のイベントでは、天野 尚(以下、天野)の風景写真、水景クリエイターが制作した作品、ネイチャータワー360°など見所は多いですね。

本間 そうですね。天野の写真作品から始まって、それらが伝承されたがごとく後半からは我々ADA水景クリエイターの作品展示になっています。

井上 本間さんは水景クリエイターの中でも、天野と仕事した時間が一番長いわけですが、国内外の撮影も一緒に行かれてましたよね。

本間 一緒に撮影に行くとね、毎回すごいなって思うことがあったね。天野は生物全般に詳しくて、現地の自然環境を見て植生の特徴などもすぐに理解し、撮影が終わると風景の見方などをよく教えてくれました。とにかく観察眼がすごかった。そういった感性が独自のレイアウト表現に直結するんだなって感じていました。水景制作と自然風景の撮影は、本当に似ているところがあってこの展覧会でもその点を感じていただけるような展示構成になっています。

井上 水景制作にリンクする観点から、本間さんが注目して欲しい写真というのはありますか。

本間 奥入瀬渓流の写真ですね。日本的な和の風景で、佗び寂びを感じられると思います。水の流れがあって、倒木や流木が苔むしていたり、シダ植物が群生していたりと、いろんな自然要因が絡み合いながら長い時間をかけて、こういった美しい景観が生まれることがよく理解できます。天野の撮った生態風景写真は、ただ美しい写真というのではなく、その景観に至るまでの自然のプロセスみたいなものが感じ取れると思うんです。

井上 そうですね。だから今回はネイチャーアクアリウム的視点で撮影された写真を中心に展示されているんですよね。そういう視点で水景を見たときに、構図の組み方とか水草の配植とか、どうしてこうなっているんだろうと、自ずとわかるようになると、よりいっそうネイチャーアクアリウムを深く理解できますね。

本間 そうだね。井上さんは動画制作でずっと水景制作の様子とかを撮ってたよね。それこそ会場では、すみだ水族館の自然水景の水中動画とか、水景クリエイターのレイアウト制作のダイジェスト動画が放映されているわけですが、実践的なレイアウトノウハウなどは動画情報の方がわかりやすくていいよね。

井上 自分の場合も、天野がレイアウト制作するときには、だいたい動画撮影をしていたので天野の言動からレイアウト制作のイロハを学んだという経験があります。レイアウト制作の動画とかは、どんなふうにネイチャーアクアリウムができていくのかがわかりやすくなっているので、水景と合わせて見ていただけると面白いと思いますし、現場の臨場感もわかります。

本間 動画は音声もあるので、水景クリエイターの言動などからも水景に対する考えも知ることができるわけですが、我々の人柄も出てしまうね。

井上 大丈夫、カッコよく編集しておきましたから(笑)。

本間 話をまとめると、「創る」と「撮る」は互いに関係していて、それを理解することがネイチャーアクアリウムの深い造詣につながるということなんですが、そこを意識して作品を見ていただけるとより楽しめると思います。あとは会場内は撮影可能なので、水景を被写体にいろいろ撮影してみるのも今の時代に合った楽しみ方かなと思いますね。
イベント会場では水槽の撮影などもスマートフォンを使って気軽に楽しんで欲しい。写真によって生体の魅力を発見したり、自分の感性を養うこともできる。
すみだ水族館での水中撮影の様子。
動画表現の可能性
スマートフォン全盛で5G時代に突入する現在、動画での表現や情報配信はますます重要に。これからはもっと動画を使った展示にも挑戦していきたい。

本間 裕介(46)
天野 尚とは自身にとって、近い存在でありながら、もっとも遠い存在だったと語るADA水景クリエイターのリーダー。イベントポスターでの天野の背中が大きく見えたとか。
今回の展示水景
水槽サイズ : W180×D60×H60(cm) 制作 : 本間 裕介
井上 大輔(35)
既成概念にとらわれない独創的なレイアウト表現は、NAホビイストからの評価も高い。ネイチャーアクアリウムの動画撮影なら自称世界ナンバーワン。
今回の展示水景
水槽サイズ : W180×D60×H60(cm) 制作 : 井上 大輔

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