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NATURE AQUARIUM EXHIBITION 2021 TOKYO Special interview 「亀山 喬史郞 × 岩堀 康太」

aquajournaljpアクア・ジャーナル編集部

新たなる挑戦だったネイチャータワー360°その魅力と専用に開発した新システムとは


亀山 ネイチャータワー360°は、今回のイベントではスケールもさることながら、その存在感でひと際目を引く作品になっていますね。形も今までの四角い枠から円柱というまったく新しい構造に変わっていて、新規性の高い展示だと思います。

岩堀 そうですね。まず、コンセプトの一つとして、世界各地の熱帯雨林と水辺っていうのがあって、ネイチャータワー360°は8つの水草ウォールを組み合わせて円柱になっているんですよね。8分割の植栽は面ごとにインドネシアとかマダガスカルとか、それぞれの地域の植物や魚を使っていて、ぐるっと周って見たときにそのエリアごとの見た目に変化をつけているので、今までにない面白い作品になったんじゃないかと思います。また、水深は浅かったけれど、世界中の水草の魅力も伝えたかったから、水中部分も構図からしっかりつくり込みました。

亀山 特に水中部分に関しては、水槽の高さが40cmとやや低いことで、水面を上から俯瞰して水草を見ることになるので、いつものネイチャーアクアリウムとは違った見方になってますよね。一方で上を向くと陸上植物から見下ろされるような、これまでにない新しい感覚の展示になってるところも特徴ですね。使用している植物は何種類くらいでしょうか。

岩堀 250種類くらい使っていて、ところどころ珍しい植物も配しています。でも、変わった植物ばかりではなくて、ジャングルプランツ・シリーズだったり、ウォール部分には佗び草マットとかのADAの生体製品を使っているスペースも多いから、初めて見る方から植物マニアの方まで幅広く、見ていて楽しい内容になっていると思います。ただ、ネイチャータワー360°に関しては、見た目のインパクトもそうだけど、それと同じくらい管理システムにもこだわっていて、特に亀山さんにはエンジニアとして参加してもらい助かりました。

亀山 ミストやシャワー、ウォールに水が流れる時間をより自然に近い形でコントロールするために、8面それぞれ管理・演出に変化をつけたいという要望を岩堀さんから聞いたとき、面白いアイデアだと思いました。

岩堀 やっぱりどうしても、テラリウムとかアクアリウムの照明やミストは、人が時間を設定して、その中で生き物たちが飼育されているわけだけど、自然ではそんなことはなくて、きっちり時間が決まっているよりは、自然環境のランダム性を表現として盛り込みたかったんです。その結果、ミストスコールシステムができ上がったんだよね。

亀山 そうですね。どういうシステムかというと、メンテナンス担当者に、8面それぞれの日々の植物の状態の良し悪しをアンケート形式でフォームから送ってもらい、そのデータをパラメーター化してシステムにフィードバックさせることで、ミストやシャワーの作動時間を、自動で調整してくれるというものなんです。また、システムをランダムに作動させるのではなく、正規分布を取り入れ偏りを持たせることで、より自然界の法則に近い表現を実現させました。プログラム上、毎日シャワーやミストが出るタイミングが変わるので、景観として同じ瞬間がないっていうところが個人的にも気に入っています。

岩堀 アクアテラリウムの規模はもちろんのこと、そういったシステムをメンテナンスに取り入れていることも、従来のやり方から一歩進んだ新しい試みでしたね。まさにネイチャータワー360°は、これからのネイチャーアクアリウムの進歩につながっていく、そんな作品だと思います。
一面ごとの変化を表現
コンセプトは世界一周。育成条件などを考慮し、広大な植栽範囲に的確に植物を配する必要があった。
新たなシステムの導入
フォームに植物の状態を入力すると、ミストやスプレーの作動ローテーションに反映されるプログラムを開発。それらの情報はクラウド上に集約され管理されている。

亀山 喬史郞(22)
アロイド系植物にハマり中の九州男児。ネイチャータワー360°ではミストスコールシステムの開発を担ったADAの若きエンジニア。
亀山のイチオシ
展示植物の中で特にお気に入りが、アンスリウム・ビッタリフォリウム。まさにタワーにピッタリ!?。
岩堀 康太(34)
水と緑の世界の可能性を追求し、この度ネイチャータワー 360°を完成させた。 最近、スマホで不可能という言葉を検索しても表示されなくなったという(笑)。
今回の展示水景
全高 : 3.5m
周囲 : 13m
制作 : 岩堀 康太

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