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NATURE AQUARIUM EXHIBITION 2021 TOKYO Special interview 「内田 成 × 荒木 大智」

aquajournaljpアクア・ジャーナル編集部

イベント開催に向けた意気込みと源流を大きな流れに変える水景制作への思い


内田 今回のイベント開催にかける意気込みは、みんなすごいですよね。コロナ禍ということもあって、一年以上ネイチャーアクアリウム・ギャラリーが閉館している状態で、ADAのインスタグラムや『アクア・ジャーナル』とかで水景紹介はしてきたんですけど、やっぱり実物のネイチャーアクアリウムをお客様に見ていただけるといううれしさがあります。水景クリエイターも管理スタッフもイベント開催に向けて長い準備期間をかけて、制作とメンテナンスをしてきたので気合いと思いは十分水景に注入できています。

荒木 確かに、つくった水景を直接紹介できないというもどかしさはありましたね。ギャラリーアーモでの開催は2回目ですが、1回目の開催のときは、天野 尚前社長(以下、天野)の作品に頼る部分が大きかったと思います。しかし、今回は5人の水景クリエイターたちが制作した水景だけを展示するわけなので、最初からイベントの作品として水景をつくるという点で、気の持ちようが全然違ったと思います。正直、自分の作品を発表できる場があるというれしさと同時に、ADAのイメージを担う怖さも感じています。

内田 正直なところ、天野作品って、ネイチャーアクアリウムのコンセプトの一つでもある長期維持が常に考慮されているので安定したメンテナンスが行えるんですよね。多少、管理の粗さが出たとしても作品の持つ強さで高いクオリティを維持し続けられるんですけど、我々水景クリエイターがそこまで見据えて制作し、管理していくという難しさはすごく感じています。

荒木 そうですね。天野が健在だった当時のことを思い出すと、水景管理においては、水槽を見たときの観察眼が鋭いのはもちろんですが、水や生体の少しの変化に気付くのが非常に早く常に高い水準で水景維持をされていました。今の我々の管理技術とか、もちろんレイアウト制作っていうのはそこから学んだことがベースになっているのですが、チームで行なっていることで、判断に甘さが出てしまうことがあります。

内田 本当にそこはありますね。今は私が中心になって、水景のメンテナンスをしてますが、天野が今まで一人で作業や指示を行なっていた時代から、今度は自分たちで気付いて考える時代に変わってきていて、その違いはすごく大きいですよね。やはりネイチャーアクアリウム・ギャラリーってADAの中枢でもあるし、そこに水槽を置いて管理してく上で絶対的な責任は常に感じています。

荒木 管理技術とか、レイアウト技術はもちろん、ネイチャーアクアリウムに対する精神性みたいなところを受け継いでいくことも大切なことだと思います。水景クリエイター5人それぞれの世界観があって、各々の表現を追求しているわけですが、その源流となるのは天野のネイチャーアクアリウムです。これからはそれぞれの個性というか作家性も必要となってくるとは思いますが、それら5つの小さな流れが源流からの流れに注ぎ込むことでADAの新たな大きな流れを生み出していくのではないでしょうか。

内田 そうですね。これからの活動の中で新しい試みや表現にチャレンジして行く上で、過去の流れみたいなものは大事にしなくてはいけないと思います。今回のイベントでは、それぞれのレイアウト表現を展開しているわけですが、基本を捉えたオリジナルに進化することの第一歩のような感覚がありました。ましてや人の心を動かすような表現は、本当に基礎を理解し、経験を重ねないと到達できるものではありません。だからこそ我々はそこを目指すんですよね?

荒木 もちろん。今回のイベントは我々のスタートでもあり、ここからさらなる大きな流れをつくっていきたいですね。
NAギャラリーから会場まで
レイアウト制作からNAギャラリー内でのメンテナンス、そして会場への搬出・搬入に至るまでクリエイターが先頭に立ち行っている。

内田 成(29)
水景の制作から管理までこなすNACのエース。イベント会期中は東京に滞在し、水景メンテナンスの責任者を務めた。
今回の展示水景
水槽サイズ : W120×D50×H50(cm) 制作 : 内田 成
荒木 大智(28)
ネイチャーアクアリウムのクラシカルな雰囲気を残す作風が持ち味とされることに少し困惑気味。海外貿易の仕事もこなし、バイリンガルな水景クリエイターを目指す。
今回の展示水景
水槽サイズ : W180×D60×H60(cm) 制作 : 荒木 大智

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