ADA

ADA水景クリエイター#01 「本間 裕介」

本間 裕介本間裕介
天野 尚が創出したネイチャーアクアリウムの哲学や技術は、現在、ADAの ネイチャーアクアリウム・クリエイターに引き継がれています。ネイチャーアクアリウム・ギャラリーで展示され、AJをはじめとしたアクアリウム専門誌で紹介されている水景やアクアテラリウムの作品を制作しているのは彼らなのです。
NAクリエイターはADA社内における資格であり、誰でもなれるというわけではありません。
今回のAJでは、現在活躍中の6人のNAクリエイターにスポットを当て、彼らが日々どのような思いで作品の制作に取り組んでいるのか、 そして将来的に何を目標としているのか、飾り気のない本心に迫ります。

これからも写真撮影と水景制作を軸として新たな創作に挑み続けたい

生き物の棲家として捉える
今では世界中でネイチャーアクアリウムが楽しまれるようになりましたが、これだけ多くのアクアリストたちの共感を呼んだのは、自然の生態系を手本とし水槽の中に魚が棲む環境をつくり、しかもそれを美しい景観として表現したことにあったように思います。私自身もその考え方に深く共感し、天野が制作する水景や風景写真に憧れ、助手を勤めながら多くのことを学んできました。今、水景クリエイターとして水景を制作するときに大事にしているのは、そこに棲む生き物のことを考えることです。子供のころ小魚やカブトムシを捕まえてきては、それらが隠れる場所をつくって飼育していたのも、子供ながらに生き物の棲む環境について考えていたからだと思います。その気持ちは今も子供のころから変わっていないような気がします。ネイチャーアクアリウムを通じて生き物が棲む環境をつくるという考え方をもっと広めていきたいと考えています。

 
「水はめぐる」
最近はジャングルプランツを多用したアクアテラリウムなども制作し、より幅広いレイアウトの楽しみ方を提案している。水辺環境は多様な生物が共生する場所でもあり、自然感も高く制作テーマとしても面白い。
感動が創造力になる
私は普段から風景撮影を趣味としています。自然の中で風景写真を撮っていると、さまざまなものが細かく見えてきます。岩と植物の配植関係や苔の着生の様子などさまざまなことが、肉眼で観察しているときよりも鮮明に見えてきます。さらに構図の取り方ではファインダーの四隅をしっかりと見ることで、画面をできるだけシンプルにし伝えたいことが伝わるように配慮していますが、それは水景を制作しているときも同じで、スクエアの枠の中に空間とバランスを考え水景イメージが伝わるように考えています。自然の中できれいなものを見たり、素晴らしい景色を見たときの感動は撮りたい、知りたい、というパワーになります。天野の撮影に同行したときに「感動しろ!」と言われた言葉は、今でも私の心の中で響いています。
天野との思い出
国内外の撮影に同行し寝食をともにしてきた。旅先では危うくダムに落ちそうになったり、原住民に囲まれたりと思い出も多い。

 
大判カメラへの憧れ
天野が愛用していたエボニー5×7で風景写真を撮る。シャッターを切る度に天野が言う大判フィルムに記録する1枚の大切さを知る。

 
ワークショップでの交流
最近は国内外でワークショップを行う機会が多くなった。ADAファンとの交流にもなって楽しい。

 
つくり続ける
水景クリエーターとして水景をつくり続け、 一人のユーザーであり続けたい。

 

広がっていくNAホビーの世界
20年前に世界水草レイアウトコンテスト(IAPLC)が開催されたことによって、水草レイアウトのスタイルの幅は大きく広がり急速に発展してきました。私も主催者側として毎年、世界中から送られてくる作品をパーティーで拝見しますが、その水景をつくり出す情熱と創造力そして作品レベルの高さにいつも敬服しています。天野がコンテストの名称をネイチャーアクアリウムコンテストでなく、水草レイアウトコンテストにしたところもホビーとしての広がりをいっそう強めたのではないでしょうか。今後も新しい世代のアクアリストが増え、さらに水草レイアウトは進化していくと思いますが、その表現がより洗練されたとしても、生き物が棲む環境の再現ということは絶対に忘れてはいけません。これまでの20年の進化、そしてこれからの進化がとても楽しみです。

 

次週、ADA水景クリエイター#02 「荒木 大智」公開予定

RELATED POSTS関連投稿

POPULAR POSTS注目の投稿