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NATURE IN THE GLASS 「グラミーの楽園」

内田 成内田 成
[ グラミーの楽園 ]
この水景は主役のパール・グラミーから構想を膨らませ、その習性考えた構図組みと水草の選択をした。生息地の様子をイメージしつつ、パール・グラミーが安心して成長・繁殖できるような環境を表現した水景である。
ⒸAQUA DESIGN AMANO

DATA


撮影日 : 2022年1月14日(ADA)
制作 : 内田 成(レイアウト制作・文)
水槽 : キューブガーデン W150×D60×H60(cm)
照明 : ソーラーRGB×3(1日8時間30分点灯)
ろ過 : スーパージェットフィルターES-2400(バイオリオL)
素材 : ジャティウッド、山水石
底床 : ロピカルリバーサンド、アクアソイル-アマゾニア Ver.2、パワーサンド・アドバンスL、バクター100、クリアスーパー、トルマリンBC
CO2 : パレングラス・ビートル50Ø、CO2ビートルカウンターで1秒に5滴(タワー使用)
AIR : リリィパイプP-6によるエアレーション 夜間消灯時15時間30分
添加剤 : ニュートラルK、グリーンブライティ・ミネラル、グリーンブライティ・アイアン、グリーンブライティ・ニトロ
換水 : 1週間に1度 1/3
水質 : 水温25℃ pH:6.8 TH:50mg/L
水草 :
BIO ハイグロフィラ・ピンナティフィダ
アヌビアス・ナナ
ブリクサ・ショートリーフ
ボルビティス・ヒュディロッティ
フィランサス・フルイタンス
タイガーロータス・レッド
ニムファsp. イキトス
オレンジ・ミリオフィラム
クリプトコリネ・バランサエ
クリナム・アクアチカ・ナロー
バリスネリア・スピラリス
モスバッグ ウィローモス

魚種 :
パール・グラミー
ダイヤモンド・レッドペレズテトラ
ブルーダイヤモンド コンゴ・テトラ
ブラックファントム・テトラ
サイアミーズ・フライングフォックス
オトシンクルス
ヤマトヌマエビ

水辺の緩急ある流れを意識した構成


流れの緩やかな水辺に潜むグラミーの住処をイメージしてレイアウト構成を考えたが、ここではグラミーと同郷となる産地にこだわるのではなく、水の流れに適した水草の配植を優先した。そのため流れの速い部分にはボルビティス、緩い部分はニムファや浮き草などを選んだ。水流は水草や魚にとっても大切な環境要素の一つであり、今回の試みは予想以上に面白かった。

水流をイメージさせる配植


リリィパイプから生み出される水流は、その形状から底床へ向かい緩やかな角度で潜っていく特徴がある。その流れに沿ってボルビティス・ヒュディロッティやハイグロフィラ・ピンナティフィダを植栽した。また、背景にはスイレンや長く伸びたオレンジ・ミリオフィラムがあることで緩やかな流れを印象づけている。このように、実際の流速だけではなく、視覚的にも流れの速さを表現することができる。
水の流れが速い最前面。ボルビティス・ヒュディロッティやハイグロフィラ・ピンナティフィダなどの活着性水草が、流れの速さを印象づけた。

環境に適した水草を選択する


このレイアウトでは、浮葉を展開するスイレンを植栽したり、浮遊植物であるフィランサス・フルイタンスを浮かべたりすることで、少なからず照明の照度が下がっているエリアがある。そこで、クリプトコリネ・バランサエやアヌビアスなど、そういった環境でも育成できる水草を選んでいる。特にアヌビアスは耐陰性が高く、入り組んだ流木の影の部分には重宝する。
流木では、耐陰性に合わせた配植を考え、活着性水草の中でも強光を好むハイグロフィラ・ピンナティフィダは、上部へ配植した。

水面表現の工夫


野生のパール・グラミーは、岸際の植物がオーバーハングしている下や、抽水植物のブッシュの中に好んで潜んでいるようだ。そこに着目して、スイレンや浮草、水面にたなびく水草を配植することで、パール・グラミーが安心できるような環境づくりを徹底した。少々、奇抜な配植にはなったものの、パール・グラミーが表層を優雅に泳ぐ姿を垣間見ることができるレイアウトになった。
メインとなるパール・グラミーが生活に適した環境に集まり、特徴や習性を大いに見せながら健康に成長してくれた。
植栽直後のレイアウト/2021年7月1日 撮影
2022年1月14日 撮影
ⒸAQUA DESIGN AMANO
ⒸAQUA DESIGN AMANO
今回主役としたパール・グラミーの美しいフォルムや、繁殖のために泡巣をつくる習性に改めて興味を持ち、グラミーが生活しやすい環境を水槽の中にどのように再現していくかをテーマに制作した。そのように考えながら組んだ構成により、流れが緩やかで留まるようにした場所は魚の休憩場所や隠れ家となり、泡巣をつくるための浮遊水草の溜まり場となった。浮遊水草や浮葉を出す水草などの水面を覆う植物があることで安心感を得られたためか、索敵行動のようなものはなく、グラミー本来のゆったりとした落ち着きのある様子が見られた。

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