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ネイチャーコラム 第9回 「FoxWatching!」

ネイチャーコラム 第9回 「FoxWatching!」

小川 龍司小川 龍司
常日頃からネイチャーに身を置くライターが身近な自然をテーマに 季節ごとのコラムを発信していきます。 
冬は雪景色という大変美しい世界を見せてくれます。この感覚は私たちが安心安全の生活を確保できているから感じられるのではないでしょうか。なぜなら、そこは死に面し続ける世界だと考えられるからです。極寒の世界で常に命がけの生活を送る、そんな過酷な世界を生き抜く彼らを紹介します。今回の生き物はホンドギツネです。何かしらの形で必ず出会っている生き物だと断言できるほど、キツネは身近な哺乳類です。稲荷神社で守護獣として祀られており、日本昔話やイソップ童話など著名な作品にも多数出演がありますよね。動物の中でも有名な種類ではないでしょうか。しかし、じっくりと観察をしたことがある方は少ないことと思います。哺乳類の観察は難しいので、まずは痕跡探しから始めてみましょう。生息地には必ず足跡やフンといったフィールドサインが残されています。そこから行動範囲を予測していき、いつか出会えるまで月日をかけてアプローチしていきましょう。ですが、警戒心の強い彼らを明るい時間帯に観察するのもまた難しいです。そこで、おすすめするのは夜間観察です。夜には開けたところでも見つけやすくなり、公園や駐車場など人の気配が近いところにも現れることがあります。視覚刺激の少ない赤いライトなどで捜索し、発見しても無闇に近づかずそっと観察してみてください。さて、写真のキツネたちは冬を乗り越えた親子です。2頭の幼獣は母親と思われる1頭の周りで遊びまわり、枝などを咥えては追いかけ合うといったほほえましい様子を見せてくれました。成獣はこちらにも視線を配り、怪しい人間がカメラを向けている様子をにらみつけてきます。こういった場面ではたいていの場合、最後まで警戒を解くことなく去っていきます。名残惜しいのが常で、一度きりの出会いがとても大切に思えます。市街地近郊では観察が難しいですが、ホンドギツネを探しにネイチャーへ出かけてみてはいかがでしょうか。

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