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ネイチャーコラム 第8回 「雪中昆虫観察記録!」

ネイチャーコラム 第8回 「雪中昆虫観察記録!」

小川 龍司小川 龍司
常日頃からネイチャーに身を置くライターが身近な自然をテーマに 季節ごとのコラムを発信していきます。 
春にはチョウが舞い、夏にはトンボが飛び交い、秋にはコオロギたちの音色に癒され、虫たちは季節ごとに私たちを楽しませてくれますよね。さて、冬はどうでしょう? 今年の冬は予報通り各地で大雪に悩まされる年となってしまいましたが、そんな冬でも見られる虫、というとどんな虫が思い浮かびますか? フユシャクガやセッケイカワゲラなど、「冬」や「雪」といった名称がつけられる虫たちも一部いるように、寒い季節にも活動をしている虫たちが存在します。そして、なんと今回は名前のわからない虫が登場します。写真の虫は双翅目キノコバエ科の一種です。彼らは謎に満ちた種類の生き物で、まだまだ新種も発見されているグループになります。ADA本社の森で撮影したこの個体はおそらく一般種なのでしょうが、もしかしたら新種の可能性だってあるくらい未知の生物群なのです。キノコバエの仲間は環境・四季に応じて通年観察することができ、種類によっては害虫として知られているものもいます。一方で認知されずに生きている種類もおり、不可思議な生き物といえます。食性も解明されてないものが多く、菌類や地衣類、原生動物、または腐植質のものなどを食べていると報告されています。雪上にも何かあるのでしょう、この個体はしきりに雪の上を歩き回り、時折飛んで場所を変えるようなことを繰り返していました。冬という季節は世界的には地域限定の環境要因ですが、そこで生き抜くために進化してきた生き物たちの強さには感動すら覚えます。生命維持に苦労する季節を乗り越える術として、渡り鳥のように生活圏を変える、一部の哺乳類のように冬眠して過ごすなど個々の性質に合わせた方法がとられています。虫たちも蛹越冬や卵越冬のように戦略をもって冬に挑んでいます。たくましく生きる虫たちを観察しにネイチャーへ出かけてみてはいかがでしょうか。

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