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ネイチャーコラム 第4回 「ゲンロクヘビ現る」

ネイチャーコラム 第4回 「ゲンロクヘビ現る」

aquajournaljpアクア・ジャーナル編集部
常日頃からネイチャーに身を置くライターが身近な自然をテーマに 季節ごとのコラムを発信していきます。
元禄模様、つまり市松模様をしているヘビについてのお話です。そのチェック柄とも言える模様はどこにあるのか、それはお腹です。この写真ではお見せできないのが残念ではありますが、実は野外で発見してもその模様はほとんど見られません。手に取ることができたらお腹を見られます。もし挑戦されるときにはご注意ください。このゲンロクヘビですが、標準種名はジムグリといいます。さすがに写真のような場所では潜れないジムグリですが、本来は名前の通り地面に潜ることができます。英名はJapanese Forest Ratsnakeといい、日本の森に棲むネズミヘビという名が付けられています。主にアカネズミやヒメネズミといった森林性の齧歯類を主食としていることからこのように呼ばれるのでしょう。和名のジムグリというのも食性に由来する行動から名付けられました。地中に穴を掘り生活している齧歯類たちを捕食すべくジムグリたちも地に潜っていきます。地中を進む際に顎が邪魔にならないように上顎が完全に下顎に被さるような形態をしており、地中生活のための形態進化を遂げたヘビなのです。学名についても触れたいところですが、お名前語りはこの辺りで締めておきます。
さてこのジムグリ、発見したときに驚いてしまったのかアスファルトの上で立ち往生していまい、このような写真になりました。日が昇り始め、気温が上がってきた時間帯に開けた耕作地から谷筋へ向かって進んでいたのでしょう。涼しく湿度のある快適な森への道を塞いでしまった、大変恐縮な出会いでした。模様が薄く、赤味もあまり強くない写真の個体ですが、ジムグリには色彩のバリエーションがあり、同じ山でも黒斑がある個体やより鮮やかな赤色の個体などにも出会うことがあります。フィールドで活動していても頻繁には遭遇できないヘビではありますが、山や森だけではなく、もちろん河川敷などの草地、公園の緑地などにも生息しています。そんなジムグリに出会いにネイチャーへ出かけてみてはいかがでしょうか。

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