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ネイチャーコラム 第3回 「ガマガエル? ヒキガエル!」

ネイチャーコラム 第3回 「ガマガエル? ヒキガエル!」

aquajournaljpアクア・ジャーナル編集部
常日頃からネイチャーに身を置くライターが身近な自然をテーマに 季節ごとのコラムを発信していきます。
さぁ! さぁ! お立合い~。という有名な口上から始まるガマの油売りを聞いたことはありますか? 万能薬であるガマガエルの油を塗ると刀で切りつけた傷が治る、といった寸劇のような江戸時代における対面販売の1例です。そこに登場するガマカエルと俗称されるカエルはヒキガエルと呼ばれる種類になります。このヒキガエルは日本では4種類が生息しており、新潟県にはアズマヒキガエルという種類が分布しています。春の暖かな日差しが喜ばしい時期には、丘陵地などの水辺に数十匹が大集合して「ガマ合戦」とも呼ばれる激しい産卵行動が見られます。もし発見した場合、そのときには間違っても手を差し出さないようご注意ください! あぶれている雄が飛びついてきてしまい、驚くほどの腕力のため取り外しに苦労します。
写真の個体は新潟県中越地域の河川で撮影しました。岩にしっかりと力強くしがみ付いている様子からも感じとれますが、なかなか急峻な流れのあるところでの出会いでした。このとき、カエルの存在はあまり気にしておらず、まさかの発見に嬉しくなったことを覚えています。このような標高500mを超え、源流域に近いような環境でも彼らと遭遇することもあります。文献上は2000m付近にも記録があるのですが、もちろん平野部にも生息しています。ガマガエル・イボガエルといった呼び名が定着しているのも馴染みある存在だった証と言えるでしょう。カエルという生き物は誰もが姿形、鳴き声をご存知のように、とても身近な存在である思います。ところが、このヒキガエルを実際に見たことのある方は多くないのではないでしょうか。多くの地域で市街地では見られることはほとんどなく、郊外の湿地や山林の近くで観察できることと思います。
都市化が進み、経済活動が盛んになっている現代では身近な「ガマ」の存在感はないのかも知れません。ですが! だからこそヒキガエルを観察しにネイチャーへ出かけてみてはいかがでしょうか。

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