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ネイチャーコラム 第2回 「親しみたいタナゴ」

ネイチャーコラム 第2回 「親しみたいタナゴ」

aquajournaljpアクア・ジャーナル編集部
常日頃からネイチャーに身を置くライターが身近な自然をテーマに 季節ごとのコラムを発信していきます。
タナゴという魚はご存知でしょうか。古来日本で身近な淡水魚として親しまれてきた生き物になります。雑魚ざこなどと呼ばれて他の小魚たちと一緒くたにされていたことも珍しくないでしょう。田んぼの水路を網でさらってみたときに小さなコイやフナ、ドジョウやモロコの仲間などさまざまな魚とともに捕れたことが想像できます。そんな身近に見られるタナゴはどんな生き物なのでしょう?
日本に生息しているタナゴの仲間は18種います。新潟県ではヤリタナゴやタイリクバラタナゴ、アカヒレタビラなど5種が生息しています。写真のタナゴはヤリタナゴという種類で、ADAが所在する地域にかつてあった鎧潟と呼ばれる湖沼流域に生息する個体になります。撮影にはかなり苦労を要し、フィールドで遂に発見したときの感激はひとしおでした。ヤリタナゴは日本における自然分布域が最も広く、一般的なタナゴといえる種類です。タナゴには日本固有種のもの、それ以外の移入・外来のものが居り、よくニュースなどで取り沙汰されています。
それぞれの種類で形態の違いはあれど、タナゴたち独特の繁殖生態が共通して挙げられます。それは生きているイシガイ科などの淡水二枚貝へ産卵する行動です。貝の中に産む理由は、貝の呼吸による新鮮な水流が卵を育んでくれること、また卵を捕食者から守るにもってこいの産卵床となるからです。このことから彼らが好む環境には二枚貝の生息環境というものが関連してきます。多くの淡水二枚貝の生息環境からもわかるように、タナゴは水深があり水流の強い流域よりも小川や用水路、湖沼の浅い岸辺などを好むことがわかります。水中にはオオカナダモやヤナギモなどの沈水植物が生育し、抽水帯にはガマやショウブなどが茂るようなところで見ることができます。
全国的に減少の声が聞こえてくるタナゴたちですが、たくましく生息している水辺もあることと思います。ぜひタナゴたちを観察しにネイチャーへ出かけてみてはいかがでしょうか。

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