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NATURE AQUARIUM

夏場の水温上昇対策

電力不足や停電が懸念される今年の夏。エアコンの設定温度を高めにしたり、不要な照明を点灯しないなど節電対策が求められます。夏場に問題になるのが、水槽の水温上昇です。水草や魚は高水温に弱く、水中の溶存酸素量も低下するため酸欠も起きやすくなります。そこで、水温上昇の対策をまとめました。

水温上昇で発生する問題

水温の上昇を抑えるために

照明時間をシフトして水温上昇を防ぐ

万一、停電が起きたら

水温上昇の実験


■水温上昇で発生する問題

"夏場の水温上昇は、ネイチャーアクアリウムなどの水草レイアウトを楽しんでいる水槽では大きな問題です。通常、水槽の水温は25℃前後で維持していますが、これは熱帯魚を健康に飼育するために経験的に得られた適温です。これよりも低い温度になると、魚の活動が鈍くなり、餌の消化が悪くなったり、白点病などの病気に罹りやすくなります。逆に25℃よりも高い水温の場合、ある程度までは魚の活性も上がって餌の食いつきも良くなりますが、30℃を超えて高水温になると水中の溶存酸素量が不足しやすくなり、病気を引き起こす細菌なども増殖しやすくなります。そのため魚の元気がなくなり、細菌性の病気にも罹りやすくなるのです。

水草の場合は、水温の上昇はもっと深刻な問題になります。ほとんどの水草は低めの水温を好み、生育に最適な水温は23〜24℃です。水温が上昇すると水草の光合成が止まり、水温の高い状態が何日も続くと生長が止まり、種類によっては葉や茎が溶けてくるものもあります。また、細菌の増殖によって、水草も病気に罹る場合があります。シダ類の葉や葉柄が黒や灰色に変色して溶ける水生シダ病は、高水温で発生しやすい水草の病気の代表的なものです。水温の上昇によってフィルター内のろ過微生物が増殖し、活動も一時的に活性化しますが、その分、酸素の消費量も多くなります。水中の溶存酸素の飽和量は水温によって決まり、溶存酸素量は水温が低いほど多くなり、水温が高いほど少なくなる傾向があります。また、水温が上昇すると水草の光合成量も低下するため、光合成によって供給される酸素量も少なくなります。溶存酸素量が低下した状態でろ過微生物の呼吸量が増えるため、最終的に酸欠によってろ過微生物の働きも悪くなり、水の濁りが発生したり、藻類が増殖しやすくなるのです。

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■水温の上昇を抑えるために

夏場の水温上昇対策として最も有効なのは、水槽用のクーラーを使用するかエアコンで室温自体を下げることです。ただし、この夏は電力不足やそれに伴う停電が懸念されていますので、電力使用のピーク時にできるだけ電気を使わず、停電時にも対応できる方法を試してみました。クーラーやエアコン以外で水温を低下させる方法としてまず思いつくのがファンの利用です。水槽用のファンも販売されていますが、最近ではUSB電源や電池で駆動するデスク用の小型扇風機などもあります。USB電源や電池で駆動できるタイプであれば、緊急の停電時にも使用できます。ファンを使用した場合に、水温上昇がどの程度抑えられるかを調べたところ、ファンを使用していない水槽に比べて2〜3℃低く抑えられました。ファンで水面に風を当てることで水の蒸発が促進され、その際に気化熱が奪われることで水温の上昇が抑えられます。そのため、水温がどの程度下がるかは、周囲の気温に影響されます。気温の異なる日にも実験を行っていますが、気温が32℃の条件ではファンの使用で水温が25℃に抑えられますが、気温が33℃になるとファンを使用しても水温は26℃までしか抑えられませんでした。ファンを使用する場合は、窓を少し開けて換気扇を回すなどして室内の風通しを良くしたり、カーテンやブラインドで窓から差し込む太陽光を遮ることで、室内の気温をできるだけ低く抑えると効果が高まります。

水温の上昇を抑えるもう一つの方法として、冷凍庫で凍らせたペットボトルを水槽に浮かべる方法が考えられます。しかし、この方法では一時的に水温は低下するものの、氷が溶ける速度が速いため、水温はすぐに上昇し始めました。凍らせるペットボトルの容量を大きくすることで、水温をより低下させることはできますが、水温の急激な変化が魚に影響を与えることが心配されます。水草の繁茂したネイチャーアクアリウムの場合、そもそも大きなペットボトルを浮かべる空間的な余裕がない場合も多いので、これはあまり現実的な方法ではないようです。

実験で使用したファン

今回の実験にはデスク用のUSBファンを使用しました。USBブースターを併用することで電池でも駆動できます。停電時にも利用できるほか、充電池を夜間の電力で充電することで電力使用ピーク時の節電にもなります。

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■照明時間をシフトして水温上昇を防ぐ

室内の気温を上昇させる要因として、太陽光による気温の上昇があります。そして、水槽の照明器具も、点灯中は熱が発生しているため室内の気温や水温を上昇させる要因の一つとなります。太陽光はカーテンやブラインドで遮ることでエアコンの効果も高まり節電になりますが、照明器具の場合は消灯するしかありません。

ネイチャーアクアリウムなどの水草レイアウトでは、光合成が行えないと水草が生長できず衰弱してしまうため、ずっと照明を消しておくことはできません。一日のうち、ある程度決まった時間で照明を点灯しておく必要があります。水草は生理的に外光の影響を受けるので、照明を点灯して光合成を行わせる時間帯は、外が明るい日中のほうが無理がありません。また、照明の点灯時間は8〜10時間程度が一般的ですが、水草の生長をそれほど急がない場合には、6時間程度に短縮しても大丈夫です。夏場は夜明けも早いので、朝の早い時間帯から午後の早い時間帯まで照明を点灯するように、照明時間を前倒しでシフトすることで、気温が最も高くなる午後の時間帯を避けることができます。午後2時以降は電力使用のピークとも重なるので、この時間帯を避けて照明を点灯することは節電対策にもなります。

このような照明時間の管理に便利なのがNAコントロールタイマーです。照明を消す際には、CO2添加も止める必要があります。また、魚やろ過微生物の酸欠を防ぐために、消灯後はエアレーションを行うのが理想的です。特に水温が上昇する夏場は、水中の溶存酸素量も低下しやすいため、水温の上昇に伴って酸欠が起きやすくなるのです。特に水温の上昇しやすい午後の時間帯には、無理に照明を点灯していても水草の光合成はあまり活発でなくなるため、照明を消してエアレーションを行っていたほうが安全と言えます。

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■万一、停電が起きたら

これから暑さの厳しい夏に向けて、電力不足が懸念されています。特にエアコンなどで電力使用がピークになる午後2時から4時くらいの時間帯は、気温も最も高いため水槽の水温も上昇しやすくなります。万一、停電が起きた場合には、できるだけ水温の上昇を抑え、魚やろ過微生物の酸欠を防ぐ対策をおすすめします。在宅時であれば、窓を開けて風通しを良くしたり、換水で水温を下げるような対策もできます。また、停電時には電池で駆動するファンやエアーポンプが役立ちます。先ほどの実験から分かるように、室内の気温を少し下げてファンを使用することで、水温を低下させる効果はより高まります。釣具店などで販売されている電池式のエアーポンプも、大切な魚やエビ類の酸欠を防ぐ有効な対策になります。また、不在時に停電が予想される場合には、照明を消して水槽の水位を少し下げ、フィルターの水流でばっ気状態になるようにしておくことをおすすめします。こうしておくことで、停電後にも再びばっ気状態になるため、ろ過微生物のダメージを最小限に抑えることができます。

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■水温上昇の実験

W30×D30×H30cmの水槽を2つ並べ、それぞれ条件を変えて水温の変化を測定しました。実験は気温、水温が最も高くなる午後の時間帯に合わせて行いました。

実験1

ファンを使用した場合と使用しない場合の水温変化を比較しました。午後2時の最高気温が32℃の状況で、ファンを使用しない場合、水温は26℃から28℃近くまで上昇しましたが、ファンを使用した場合は25℃前後で推移しました。


実験2

ファンを使用した場合と水を凍らせたペットボトル(500㎖)を入れた場合の水温変化を比較しました。ペットボトルのほうは一時的に水温が低下しますがすぐに上昇し、最終的に28℃になりました。ファンのほうは効果的に水温の上昇を抑え、25℃から26℃の間で推移しました。


実験3

水を凍らせたペットボトル(900㎖)を入れた場合と水を凍らせたペットボトル(500㎖)を入れてさらにファンを使用した場合の比較。容量の大きなペットボトルを入れたほうが、水温の低下は大きくなりますが、その後上昇に転じ、最終的は28.2℃になりました。ペットボトルとファンを併用した場合、25.5℃から27.5℃の間で推移しました。

※凍らせたペットボトルで水温を効果的に下げるには大きな容量が必要になり、ネイチャーアクアリウムなどの水草レイアウトでは現実的ではありません。

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