ADA

NATURE AQUARIUM GOODS HISTORY – Story 01. “プロシザース”

NATURE AQUARIUM GOODS HISTORY – Story 01. “プロシザース”

aquajournaljpアクア・ジャーナル編集部
「自分が本当に欲しいもの、それだけをつくってきた」─────
今から約27年前に天野尚によって提唱されたネイチャーアアクアリウムは、アクアリウム用品そしてレイアウトスタイルに多大な影響をもたらしてきました。ADAが開発してきたすべてのアクアリウム用品は、天野独自の着眼点とアイディアをもって生み出された完全オリジナル製品です。水槽の中に美しい自然水景をつくり、またその美観の長期維持に必要となるものを、天野は自身の経験による徹底したこだわりと感性によって次々と生み出していきました。美しさと機能性を兼ね備え、且つ、使う楽しみを提供できるものであることがADA製品の一貫したこだわりです。そんなADAのオリジナル製品がどのように生まれてきたのか、ここでは、生前天野が語った述懐をもとにその誕生秘話を紹介していきます。

世界初・水草トリミング”専用”


1993年、ADAで世界初のトリミング専用ハサミが誕生。水草へのダメージを抑えたシャープな切れ味と水中での使いやすさを考え、まず登場したのがトリミング専用ハサミ・ストレートでした。その後、ADAでは、さまざまなレイアウトに対してより正確な作業が行えるように、あらゆる用途に合わせたユニークなハサミを開発してきました。ADA独自の特徴的なハサミはどのように製品化されてきたのか、その開発のきっかけを辿っていきます。

「道具を使う楽しみというものが、みんなの心の中に芽生えてきた」

水草レイアウトの技術向上に伴い、レイアウトのバリエーションもまた豊かになっていったため、ハサミもそれらに対応した多様な機能性が求められるようになりました。使う道具の機能をより高めるための改善点やアイディアは、実際にレイアウトをしている過程の中でどんどんと浮んできたと天野は言います。考えを熟成させて試行錯誤しながら、天野はさまざまなタイプのハサミを製品化してきました。

天野が次々と新開発していくハサミは、どれも受け入れられていきましたが、それは、機能性が評価されただけではないと天野は言います。「道具を使う楽しみというものが、みんなの心の中に芽生えてきたのだと思う。使う道具にこだわることで、水草レイアウトの面白みがますます広がったのではないかな」

「究極のハサミ」プロシザーズ・ウェーブ誕生


S字状のうねりが特徴的なプロシザーズ・ウェーブ。発売当時、衝撃をもたらしたその斬新なハサミの形状。プロシザーズ・ウェーブは、背の低い前景草、またガラス面や水槽の角などの細かい部分のトリミングに適したハサミとして誕生しました。例えば、成長の速いグロッソスティグマは、それまで長期維持が難しい水草と言われていましたが、天野はその要因の一つを、背の低い水草を上手くトリミングできるハサミがないからだと考えました。上手くトリミングをできないから、その結果、伸び過ぎて崩壊させてしまうのだろう、と。

「水草レイアウトは維持することが重要で、むしろつくることより難しい。上手に維持するためには、その用途に適したツールを使って管理していくことが重要な鍵をにぎるのではないかと思ったんだ。それに加えて、水槽のコーナーなどの切りにくいところをきれいにトリミングするためのハサミを模索していくうちに、このS字状のうねりのある形が誕生したんだ。究極のハサミだと思うよ」

プロシザース・ウェーブ=小型水槽では角度を起こして細かなトリミング、大型水槽では角度を寝かせて広い面積のトリミングと、前景トリミングの万能タイプです。

湾曲の施されたハサミとして、プロシザース・ショート カーブタイプがありますが、プロシザーズ・ウェーブとの違いを挙げるとすれば、前者は万能タイプ、後者はより細かいところに手が届くタイプと言えます。

有茎草でもヘアーグラスでもグロッソスティグまでも、何でもざくざくと切るのであれば、カーブタイプ。ウェーブタイプは刃先の角度を自由に調節できるので、広い面積からより細かなトリミングまで可能となります。

「用途に合わせていろんなツールを揃えた方が管理もしやすいし、何よりおもしろい」

さまざまな用途によってハサミを使い分けていくことで、水草レイアウトはより完成度の高いものに仕上がっていきます。「複雑なレイアウトをつくった場合、一本の水草専用のハサミで足りるものもあるけれど、本当に丁寧に能率よく、かつ楽しくやるんだったら用途に合わせていろんなツールを揃えた方が管理もしやすいし、何よりおもしろい」と天野は言います。例えば、流木に活着させたウィローモスは適度なトリミングできれいに維持することができますが、プロシザーズ・ウェーブやプロシザース・ショート カーブタイプを使った場合よりも、プロシザーズ・スプリングを使った方がきれいにトリミングすることができます。
上=プロシザース・スプリング ストレートタイプ/下=プロシザース・スプリング カーブタイプ
プロシザーズ・スプリングは手のひらサイズで小回りが利くのが特徴で、流木が横断している水槽内の狭い空間や小型水槽でのトリミングに適したハサミとして開発されました。そのようにハサミを使い分けていくことによって、より美しく、健康的に水草を管理できるようになったのです。

「こだわってものをつくって、こだわって管理する」

手にしっかりとなじむ感触。それもADAのハサミの特徴です。

「例えば、持ち手のリングの大きさも細かく改良してきた。何度も何度も試行錯誤をして、何千例のレイアウトをつくりあげて、そしてさらに管理する中で『こういう場合はこういうハサミが必要だ』とか、『こういう場合はこうした方がいい』と考えてつくりあげてきたものなんだ」
一見気がつかないような細部へのこだわりは、使用する人にとって大きな違いを実感するものになり、だからこそ、NAグッズはより質の高いものを目指して進化を続けてきました。また、ADAのハサミはみな刃先に磨きをかけていますが、それは鋭い切れ味によって水草に与えるダメージを軽減できるからという理由だけでなく、見た目の美しさにもこだわっているからなのです。

「ハサミだから、ただ切れれば良いといわけでもなくて、形の美しさも大切。道具であれ何であれ、デザインの美しさにはこだわりを持ちたいんだ。『より良いものをつくりたい』というようなプラス思考の発想で、道具を使うことに対しても感性を持つということは素晴らしいことだと思う。こだわってものをつくって、こだわって管理する。そういうのがおもしろさを生み出していくんじゃないかな。管理もそうだけれど、道具を使う楽しみというものがあるんだよ」

RELATED POSTS関連投稿

POPULAR POSTS注目の投稿