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FIELD REPORT -自然から学ぶ石組のヒント Part2-

aquajournaljpアクア・ジャーナル編集部

岩がつくり出す風景のダイナミズム


海の岩に見られる“流れ”は、岩の傾きとその連なり方(方向性)によって感じられるものである。川石の場合、おもに水の流れによって傾きや方向性が決まるが、海の岩の場合は海底の隆起や沈降、地層の褶曲や断層といった地殻変動の影響を受け、さらにそこに波による侵食作用などが加わることで、ある岩とその周囲の岩に“流れ”が生まれるのだ。そのため、海の岩がつくる風景はダイナミックであり、そこから学んだ石組も迫力が感じられるものになる。石組でこの動的な迫力を表現するには、親石を傾けて不安定に見せることが効果的だが、この親石の傾きを強調するテクニックとして影の見せ方がある。また、石組で遠近感を表現するには、大きめの石を手前に、小さめの石を奥に配置する配石方法が効果的である。これらのテクニックも海の風景から学ぶことができる。
新潟県 村上市 今川
石の角度で変わる光と影の見え方を学ぶ
この風景の主題である岩は、傾きと影によって迫力と流れが生まれ存在感が増している。光の当たり方によっても岩の印象は大きく変わってくる。
奥行き、遠近感を自然の配石から学ぶ
広角レンズを使い、手前に大きな岩、奥に小さな岩が見える位置から撮影することで遠近感を表現することができる。これは水景制作にも通じる。
天野が折に触れて言っていた通り、風景の撮影から学べることはたくさんある。

川の風景に学ぶ石組のヒント


魚沼地域を流れる清流、魚野川。その支流の一つである水無川は、天野が石組レイアウト用の川石として愛用してきた八海石を産する川でもある。渓流は、海とは違って石の流れや方向性が分かりやすい。川は上流から下流に向けて一方向に流れ、誰が見ても水の流れが理解できるからである。ただし、実際にはその流れの強さや方向は複雑に変化しており、石の向きや傾きも一定ではない。それが、川石を用いて石組をつくる際のヒントになる。
新潟県 南魚沼市
水の流れと植栽表現を学ぶ
山間を流れる水無川。このような渓流では、至る所に石組のヒントがある。自然を切り取る風景写真は、それらのヒントを見つけるのにも役立つ。
石組レイアウトでは、石の配置だけでなく植栽によっても水の流れが表現できる。そのためには、この写真の草のように、連続性とリズムが重要になる。
石の傾きによる水の流れの表現を学ぶ
水の流れによって石の傾きが変わり、さらにそこで水の流れが変わることで、他の石に与える影響も変わる。水の流れや石の傾きは一定ではない。

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